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【医師解説】中高年はなぜ「おなか」が太る?納豆など「食前ネバネバ食」がダイエットの鍵

解説 ブルークリニック青山院長
内藤眞禮生

誰でも年齢を重ねてくると、おなか太りを招きやすくなります。
若いときと同じ食事量なのに太りやすくなる原因として、全身の細胞内にある「ミトコンドリア」という微小な器官が深く関係しています。

ミトコンドリアとは何か、その働きについて、ブルークリニック青山院長の内藤眞禮生(まれお)先生に話をお聞きしました。

ミトコンドリアの役割

s_ミトコンドリア.jpg私たちの体を構成している60兆個もの細胞の一つひとつには、数百から数千個ものミトコンドリアがあるとされます。

ミトコンドリアはさまざまな働きを担っていますが、特に重要な役割は、私たちが生命を維持するために、脂質・糖質・たんぱく質という3大栄養素を代謝(体内で行われる化学反応)してエネルギーを生み出すこと。

実は、おなか太りの人はこのミトコンドリアの働きが低下している、つまり休眠状態に陥っているため、脂質や糖質などの栄養素がエネルギーとして使われにくくなっています。その結果、余った脂質や糖質が体脂肪として、おなかの周囲などに蓄積されるというわけです。

ミトコンドリアは、年齢を重ねるにつれてその数が減り、働きも低下していきます。そのため40代以上ともなると、おなか太りを招きやすくなるというわけです。

ミトコンドリアの覚醒は「酵素」食品の摂取が重要

体脂肪を燃焼させるミトコンドリアを覚醒させて代謝をアップし、おなか太りを改善するにはどうすればいいのでしょうか。

私のクリニックでは、肥満に悩む患者さんの多くが食事制限をすることなくダイエットに成功しています。そのカギとなるのが、「酵素」です。酵素とは、脂肪や糖などの栄養素の代謝を促すたんぱく質のことで、消化酵素と代謝酵素に大別されます。このうち、ミトコンドリアがおなかなどについた体脂肪を燃焼させるために必要なのは、代謝酵素のほうです。

代謝酵素を体内で作る能力は、年々低下していきます(消化酵素も同様)。ところが、食品に含まれる消化酵素や、酵素の働きを助けるビタミン、ミネラル(無機栄養素)を多くとることで、間接的に代謝酵素の働きを高められることがわかっています。s_ミトコンドリア.jpg

酵素を効率よく補給できる「ネバネバミックス食」レシピ

消化酵素やビタミン、ミネラルは、これらを多く含む野菜をとれば補うことができます。ただし、酵素は加熱すると壊れてしまうので、野菜は生でとることが大切です。

生野菜で消化酵素を補えば、体内の消化酵素が節約できます。すると代謝酵素の働きが活発になるため、ミトコンドリアが増強されて体脂肪の燃焼を促進するのです。

発酵食品をとることによっても、酵素を補給できます。特に納豆は、発酵の過程でアミラーゼやリパーゼ、ナットウキナーゼといった酵素が生み出され、体内で作られる酵素の原料となる、たんぱく質も豊富です。ナットウキナーゼというネバネバ成分には、脳や心筋梗塞の原因となる血栓(血液の塊)を溶かす働きもあります。

そこで私は、患者さんたちに、納豆にオクラやメカブ、モロヘイヤなどを混ぜて食べるネバネバ食「ネバネバミックス」をすすめています。生野菜や発酵食品に加え、ネバネバミックスをおかずとしてとれば、代謝酵素の働きがさらに高まるでしょう。レシピを紹介します。

ネバネバミックスの作り方

納豆、オクラ、メカブ、モロヘイヤといったネバネバ食に、味付けとして昆布や刻みネギを用意する。

材料.jpg

❷それぞれの食材を包丁で細かく切り、よくかき混ぜたら出来上がり。

MIX.jpg

食事の最初にとるのがコツ

ミトコンドリアの働きをより高めるには、酵素が多い食品を食事の最初にとるのがコツです。
そうすれば、普段は消化が行われない胃の上部で、酵素による食品そのものの事前消化が起こります。この事前消化のおかげで体内の消化酵素を節約でき、代謝酵素の働きがよくなると考えられ、ミトコンドリアによる体脂肪の燃焼が促されるのです。

おなか太りに悩む人は、ミトコンドリアの働きを活発にしてくれる酵素の豊富な食品をとることを毎日の習慣にするといいでしょう。
もちろん、やせたい人はバランスのいい食事、適度な運動も重要であることを忘れずに。


記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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