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【禁煙対策メソッド❶】命を削る「タバコ毒の認識」寿命が8年短く、自立生活も4.2年縮む

解説 日本禁煙学会理事長・日本赤十字医療センター医師
作田学

禁煙を1年以上継続できる人は20人に1人程度。たったの5%なのです。市販の禁煙ガムや禁煙パッチを利用しても、成功率は20%にも満たないといわれています。 しかも、禁煙に失敗すると、その反動でタバコの量がかえって増えてしまう傾向があり、ますます禁煙は難しくなっていきます。

タバコがやめられないのは、意志の力が弱いからではありません。肉体的(ニコチン依存)、心理的(タバコに対する誤った思い込み)、習慣的(日常の行動パターンに根づいた喫煙習慣)な3つの依存状態にどっぷり漬かっているからです。

この3つの依存を十分に理解して、理性的に行動してタバコを排除できれば、禁煙を成功に導くことができます。日本禁煙学会理事長であり、医師の作田学先生に話をお聞きしました。

ちなみに、本日1月13日は、「たばこの日(ピース記念日)」です。これを機に、あなたも禁煙を成功させませんか?

タバコの煙は有害物質の塊

禁煙を成功させるには、タバコの毒がいかに害のあるものなのか、正しい知識を持つことが大切です。 タバコの煙には、約4000種類もの化学物質が含まれています。このうち200種類以上は有害なもので、その中の50種類以上が発ガン性を持っています。

代表的なのは、タバコの3大毒といわれるニコチン・タール・一酸化炭素です。

タバコの毒❶ニコチン

タバコを吸うと、ニコチンが肺から血液中に入り数秒で脳に達します。そして、脳にあるニコチン受容体と結合して、快感を生じさせる物質(ドーパミン)を大量に放出します。この作用によって、タバコを吸うと「落ち着く」「ホッとする」といった感情が生まれます。

s_ニコチンの悪循環.jpgしかし、ニコチンの作用は長くは続かず、30分もすればニコチンが減って、ドーパミンも減少します。すると、逆にイライラや不安といった離脱症状(禁断症状)が現れてくるので、再びタバコを吸ってそれを抑えようとするのです。このくり返しによって、ニコチン依存の深みにどんどんはまっていくわけです。

その依存性の高さは危険薬物であるヘロインやコカインと同じといわれています。そのため、一度中毒になると、そこから抜け出すのは容易なことではありません。

タバコの毒❷❸タール・一酸化炭素

タールは、タバコのヤニのことで、その中にはベンツピレン、アミン類など数十種類の発ガン性物質が含まれています。

一酸化炭素は車の排気ガスの成分で、血液中のヘモグロビンと結合する性質があり、多く取り込むと体が酸欠状態に陥ります。

s_Fotolia_168426909_Subscription_Monthly_M.jpgさらにタバコの煙には、ペンキ除去剤に使われるアセトンや、アリなどの駆除剤に含まれているヒ素、車のバッテリーに使われているカドミウム、工業溶剤として使われるトルエンなども含まれているのです。

つまり、タバコを吸うということは、これらの有害物質を体に取り込むということです。 吸いつづければ、ジワジワと体が蝕まれ、ガンや脳卒中、心筋梗塞、動脈硬化、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、胃潰瘍、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺炎、ぜんそく、ウツ、バセドウ病、骨粗鬆症、EDなどといったさまざまな病気を招いてしまいます。

女性はタバコで寿命が10年縮む⁉︎

タバコを吸いつづければ、寿命が確実に短くなります。
例えば、英国の研究によると、70歳時点の生存率は、タバコを吸わない人が81%なのに対して、タバコを吸う人は58%と23%も低く、全体として約10年も短命であることがわかっています。

日本の調査でも、20歳未満でタバコを吸いはじめた男性(1920~1945年生まれ)の72%は、70歳まで生存していましたが、タバコを吸わない男性の72%は78歳まで生存していました。つまり、タバコで余命が8年短くなったわけです。 なお、同じように女性を調べると、タバコを吸っていた女性は、余命が10年短くなっていました。

さらに、厚生労働省の調査で、65歳以上の男性が健康で自立した生活を送れる期間を比べてみたところ、タバコを吸う人は吸わない人に比べ、4.2年も短いことが報告されています。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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