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糖尿病は心房細動のリスクを高める危険因子|高い血糖対策に役立つ根菜「キクイモ」とは

解説長野市国保大岡診療所 所長・サキベジ推進協議会
内場廉

心房細動を発症する人は、そのほかにさまざまな病気を抱えていることが、多くの研究によってわかっているそうです。
特に、心房細動の発症リスクを約1.4倍高める危険因子として注意しなければならないのが、糖尿病です。

今回は、糖尿病の改善に役立つとされる奇跡の根菜「キクイモ(菊芋)」をご紹介します。長野市国保大岡診療所所長の内場廉先生に話をお聞きしました。

もちろん、糖尿病の人も心房細動の人も病院で治療を受けることが最重要です。そのうえで、キクイモを食事の中で利用してみてはいかがでしょうか。

日本人の大半は2型糖尿病

日本人の糖尿病の多くは、2型糖尿病です。これは、食べすぎや運動不足、肥満といった悪い生活習慣によって、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)を調節するインスリンというホルモンが不足したり、その働きが悪くなったりして起こります。

2型糖尿病の場合、食事の見直しや継続的な運動といった方法で改善することができます。しかし、こうした対策は本人の努力によるところが大きく、長く続けられないという人も少なくないのです。

図1.png3年に1度行われる厚生労働省の調査によると、糖尿病患者数は近年急激に増加しています。228万4000人(2002年)→246万9000人(2005年)→237万1000人(2008年)→270万人(2011年)→316万6000人(2014年)となっており、わずか12年間で約100万人も増えているのがわかります。

キクイモ(菊芋)はイモ類ではなく根菜類

高い血糖値を低く抑えるには病院治療に加えて、徹底した食事療法や運動療法による生活改善が基本になります。そのうえで、血糖値の安定化に役立つ可能性があると日本でも海外でも評判になっている食品があります。それが、「キクイモ(菊芋)」です。

ジャガイモ、サトイモ、サツマイモなどと同じく「イモ(芋)」と名がついていますが、イモ類ではありません。正確には北米大陸原産の根菜で、花がキク(菊)に、根茎がイモに似ていることからこの名がつきました。

キクイモが血糖値の安定に役立つのは、その中に含まれる栄養成分によるものです。その主成分が、イヌリンという水溶性食物繊維になります。

キクイモはいつ頃、どこで採れる?生で食べられるの?

キクイモは、12月から3月ごろまで、一部地域で採れます。特に、長野県の一部の土地では特産品として販売されています。新鮮なものであれば、生でも食べられます。もちろん、加熱調理もできます。
ただし、生のキクイモは長期の保存が難しいため、夏の季節には入手できません。また、キクイモの人気が高まり、今では入手自体が困難になっているため、一般的には、キクイモの成分を抽出した栄養補助食品を利用している人が多いようです。

キクイモの主成分「イヌリン」の高い血糖への作用

キクイモに含まれるイヌリンは、胃腸に入ると水分を吸収してゲル状(ゼリー状)になり、糖の吸収の速度を抑える働きがあります。しかも、イヌリンは人間が消化できない成分のため、エネルギーになりません。摂取した分だけ血糖値の急激な上昇を抑えるのに役立つのです。
食後の血糖値の急上昇は血管を傷つけ、合併症を引き起こす原因となるため、イヌリンの働きはとても重要といえます。

さらに、イヌリンにはもう一つ素晴らしい働きがあります。それが、インスリンの分泌促進に副次的に役立つ働きです。イヌリンが腸内に入ると、少し分解されて短鎖脂肪酸が遊離します。その遊離した短鎖脂肪酸が小腸粘膜を活性化させて、結果的にインクレチンというホルモンの分泌を促すことになるのです。
そして、このインクレチンが、腸から肝臓につながる門脈と呼ばれる血管を通り、肝臓を経由してすい臓に達します。そして、すい臓の細胞を刺激し、インスリンの分泌を促して血糖値の急上昇を抑えるのに役立つとされています。

ちなみに、インクレチンは、数年前に登場した糖尿病の新薬にも使われています。ですから、キクイモという食品を摂取することで、体内にインクレチンが増える可能性があることは画期的といえるでしょう。

キクイモの働きは日本や海外の試験で実証済

キクイモの働きを実証した試験の中でも有名なのが、ハンガリー市民病院のアンゲリ博士らの研究グループによるもの。試験では、糖尿病の患者さんに2年間、キクイモを摂取してもらいました。その結果、糖尿病の患者さんの約半数が良好な血糖コントロールを得られたと報告されています。
ちなみに、ハンガリーやドイツなどでは、医薬品としてキクイモが使われるほど、その働きは高く評価されているのです。

日本には、江戸時代末期に伝来してきましたが、特に目立った研究は行われてきませんでした。それがここ10年間で、キクイモを摂取して糖尿病が改善した人が現れ、大学や病院でキクイモの研究が盛んに行われるようになっています。

例えば、東京女子医科大学の出村博名誉教授が行った試験があります。この試験では、肥満傾向にある38人(平均年齢59歳)に、キクイモの成分を抽出した食品を約7カ月にわたって摂取してもらいました。その結果、約9割(34人)の血糖値が平均して38.5mg/dLも下がり、中には200mg/dL近く下がった人もいたと報告されています。
また、ヘモグロビンA1c(1〜2カ月間の血糖値の推移を示す値)の数値も、もとの数値が高かった人ほど大きく下がり、基準値(6.5%以上で糖尿病と診断)内かそれに近い数値に改善されていたそうです。

もちろん、キクイモを摂取したすべての人の血糖値が安定するわけではありません。栄養バランスのいい食事を心がけて、適度に運動することを忘れないでください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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