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脱水は腎機能低下を招く重大原因?水分補給の適切な量とタイミングを指南

解説 日本医科大学名誉教授
飯野靖彦

脱水症は夏に起こる、というイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、実は冬にも起こりやすいことがわかっています。暖房器具による乾燥や風邪やウイルスがその原因になっているといいます。

特に、冬の脱水症に注意しなければならないのが、中高年の方々。年を重ねるとのどの渇きを感じる神経が衰えるため、知らず知らずのうちに脱水症に陥るのです。

しかもこの脱水症、腎臓にも悪影響を及ぼすといいます。脱水症と腎臓の関係について、日本医科大学名誉教授の飯野靖彦先生に話をお聞きしました。

喉が渇きにくい⁉中高年に増える脱水

中高年は、年齢を重ねることで体の中の水分量が減少しているうえに、のどの渇きを感じる神経も衰えているので、脱水の自覚症状がないまま無意識のうちに脱水状態に陥ることが少なくありません。自覚のない脱水、これを「かくれ脱水」ともいうそうです。

脱水症とは
体の大半を占める体液という水分。体内が排出される水分量と体内に補給される水分量のバランスが崩れて、体に必要な体液の量を保てていない状態。

脱水が続くと血液量が減り腎臓を傷める

脱水状態が長く続くと腎臓の血液量が減り、濃くなってしまいます。そのため酸素や栄養の供給が滞って腎細胞がダメージを受けるのです。そのほかにも、倦怠感・嘔吐・微熱・頭痛・めまいが起こり、最悪の場合は死に至る危険もあるので注意が必要です。

ただし、汗をかいたら水分補給をするというだけでは不十分です。すでに述べたように、特に注意が必要な中高年は、汗をかかなくても意識的に水分を補給することが大切です。

脱水を防ぐ理想的な水分管理術

意外と知らない1日に必要な水分摂取量。成人が1日に必要とする水分量は、体重1キロ当たり50ミリリットルが目安になります。例えば、体重が50キロの人なら1日当たり2.5リットルの水分が必要になるわけです。

とはいえ、その量をすべて飲料水から摂取するわけではありません。体内の代謝(体内で行われる化学反応)で生成される水分が約12%、3度の食事で摂取する水分が約40%あります。ですから、意識的に摂取すべき量は、1日の必要量の約半分程度です。

s_Fotolia_171132990_Subscription_Monthly_M.jpgポイントは、食事や運動以外に、決まったタイミングでこまめに水分をとることです。起床後・昼・夕・就寝前の1日4回、コップ1杯の水を飲んでください。コップ1杯で約200ミリリットルなので、これで必要量の半分程度は補えます。あとは、間食でいっしょに水分をとったり、お茶を飲んだりすれば、日常生活の中で水分は補えるでしょう。

水は、常温よりも少し冷たい(10℃程度)ほうが、速やかに体へ吸収されます。ただし、水分のとりすぎには要注意。水分を過剰にとると、血液が薄まり、けいれんや意識障害を起こすことがあります(水中毒という)。また、心臓病や高度の腎臓病の人は心不全や浮腫(ふしゅ)が起こります。そうならないためにも、医師と相談しながら適切な量の水分を補ってください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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