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腎盂腎炎の原因と予防|女性に多い?トイレを我慢すると症状が悪化する?

解説 日本医科大学名誉教授
飯野靖彦

「腎盂腎炎(じんうじんえん)」、病名自体を初めて聞いたという人も多いはずです。そもそも「腎盂」とは、腎臓で作られた尿が尿管から排出される前に集められる場所で、いわば腎臓と尿管の接続部のことです。

いったいどんな病気で、発症の原因や予防・治療法にはどういったものがあるのでしょうか。日本医科大学名誉教授の飯野靖彦先生に話をお聞きしました。

腎盂腎炎とは?症状は発熱や血尿、背中の痛み

腎盂腎炎とは、尿道から体内に侵入した大腸菌が膀胱の中で増えて、尿管を逆流して腎盂で炎症を起こす病気です。前立腺肥大や尿路結石、膀胱炎などの病気、免疫力が落ちているときなどにもかかりやすくなります。

主な症状としては、発熱(38度以上になることが多い)や血尿、背中の痛みなどが挙げられます。
s_Fotolia_171132910_Subscription_Monthly_M.jpg腎盂腎炎には「急性腎盂腎炎」と「慢性腎盂腎炎」があり、急性をくり返した結果、慢性に移行する人が多いようです。

発症数の男女比は約1対30で女性に多い

腎盂腎炎は、男性よりも女性に多発します。発症の男女比はおよそ1対30ともいわれます。女性に多発する理由は、女性は尿道が短く、大腸菌が膀胱まで到達しやすいことが考えられます。

s_男女比.jpgまた、女性は「トイレを我慢しがち」であることも問題です。排尿を我慢したり、トイレを気にして水分摂取量を減らしたりすると、細菌が繁殖しやすくなります。特に、接客業などに従事する人は、トイレを我慢することが多い傾向にあります。

尿意が起こったら速やかに用を足すこと、こまめに水分を補給してトイレの回数を増やすことで腎盂腎炎の感染を予防するのが、第一に行うべきセルフケアといえます。

腎盂腎炎の検査

腎盂腎炎で病院を受診するさいは、腎臓内科をはじめ泌尿器科、一般内科などに行くのが適当です。

腎盂腎炎の検査は、尿検査・採血・超音波(エコー)検査などが一般的です。尿検査では。尿の中の細菌や白血球の状況を確認します。採血した血液の検査では、炎症の具合や腎機能の状態を確認します。エコーで尿の通過障害の有無を検査します。

腎盂腎炎の治療は?抗生物質や抗菌薬の投与が基本

腎盂腎炎では、まず薬物治療が基本になります。

尿検査などで判定した細菌に効く抗生物質や抗菌薬が投与され、おおよそ1〜2週間で治ることが多いです。ただし、慢性化すると、最悪の場合、腎不全に至る可能性もあるため、早期に病院できちんとした治療を受けることが大切です。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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