痔の手術を回避!排便時の痛みや出血、お尻のイボなど【痔核・裂肛・痔瘻】を招く原因と生活|カラダネ

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痔の手術を回避!排便時の痛みや出血、お尻のイボなど【痔核・裂肛・痔瘻】を招く原因と生活

解説 カラダネ編集部

排便時の痛みや出血など、痔の悩みはつらいものがあります。相談しにくいため孤独な面もあります。
とはいえ、痔をまずは悪化させないためにも、肛門科のある病院で診てもらうことが肝心です。

でも、安心してください。痔は手術でしか改善しないわけではなく、現状では手術せずに保存療法でよくなる場合がほとんどだそうです。
健康情報誌『夢21』2017年10月号(2017年9月1日発売)でも、治療法について専門医がくわしく述べています。

カラダネでは、痛みや出血といった症状から、痔を招く原因&生活まで解説します。

痛み、出血、いぼ、膿が出るのは痔の典型的症状

痔の典型的な3大症状

痔と一言でいってもいくつかの症状があります。代表的なのは次の3つ。

❶排便時に痛む、出血する
❷肛門からいぼがはみ出す
❸お尻から膿がにじむ

こうした症状がある人は、肛門科のある病院で診てもらってください。
痔は肛門の病気の総称で、肛門周囲の組織に炎症が起こって発症・悪化します。
痔は決して珍しい病気ではなく、ある製薬メーカーの調査では、日本人の成人の3人に1人は痔に悩む「痔主」であると報告されています。

また、米国のある病院で外来患者全員に肛門科の診察を受けてもらったら86%に痔が認められた、など世界的に見ても痔は一般的な病気といえます。

コラム 昔の偉人も痔に悩んでいた!?
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古今東西を見渡しても痔に苦しめられた人は多く、太陽王ルイ14世やグスタフ・マーラー、松尾芭蕉(写真は東京都江東区にある芭蕉像)など、国王から作曲家、俳人にいたるまで、誰にでも降りかかり、しかもなかなか改善しないやっかいな病気なのです。

痔には3タイプある。あなたはどのタイプ?

さて、痔といっても症状から「痔核(じかく。いぼ痔のこと)」「裂肛(れっこう。切れ痔のこと)」「痔瘻(じろう)」の3つに分けられます。それぞれについて説明しましょう。

痔核(いぼ痔)

痔核は、肛門の内外にできる動静脈瘤の一種です。肛門周辺には、便やガスがもれないように血管が密集しています。
しかし、便秘でいきんだりして肛門に負担がかかることをくり返していると、血管が切れて出血したり、血流が悪くなったりして血管周囲の結合組織が増殖します。これが痔核となって肛門の内外に現れるのです。
Hemorrhoid type1.png
歯状線(肛門の約2センチ奥にある境界)よりも内側にできるものは内痔核、外側にできるものは外痔核と呼ばれています。

通常、内痔核は痛みがありません。出血や肛門からの脱出で気づくことが多く、進行の度合いによってⅠ~Ⅳ度の4段階に分類されます。手術が必要になるのは、脱出した痔核を指で戻さなければならないⅢ度以上の場合です。
一方、外痔核の場合は強い痛みが現れますが、外痔核で手術が必要になるケースは、それほど多くあないそうです。

裂肛(切れ痔)

Hemorrhoid type3.png裂肛は、いわば肛門の外傷です。硬い便が出たときなどに歯状線より外側の肛門上皮が裂けて、激しく痛んだり出血したりします。このように肛門が裂けるのは、主に背中側です。

初期は単純性裂肛といい、肛門上皮の再生力が残っているので、患部を清潔にして消炎薬を塗れば治るとされます。

しかし、単純性裂肛をくり返すとポリープや潰瘍ができて、手術が必要になる場合もあるため要注意です。裂肛は、女性に比較的多く見られます。

痔瘻

Hemorrhoid type2.png痔ろうは、歯状線のところから通じている肛門腺に膿がたまって激しく痛み、お尻から膿が出る病気です。
膿が出たら、手術で化膿したところを取り除く手術を必ず受けなければなりません。
痔瘻は男性に起こりやすい傾向があります。

最後に3タイプある痔のうち、半数以上は痔核で占められています。

痔になる人ならない人の違い

痔(痔核)になるのは、お尻を長時間圧迫したり腹圧が強くかかったりして起こる「お尻の血流悪化」が原因といいます。

お尻の血流を悪化させる生活が痔を招く

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『夢21』には、痔になる人ならない人の生活習慣の違いについての調査結果が掲載されています。それによると、痔の人は
●トイレで5分以上ふんばる、またはトイレを我慢することが多い
●辛い食べ物をよく食べる
●水分をあまりとらない
●野菜をあまり食べない
●ダイエットをくり返している
などの生活習慣のほか、「便秘がち」「下痢がち」「お尻まわりが冷えがち」といった体質のある人が多いようです。

肛門の免疫が乱れると痔を招く

また、平田肛門科医院院長の平田雅彦先生は、『夢21』の中で、肛門の健康を守る免疫が乱れることで痔の炎症を悪化させる恐れがあると述べています。

肛門の免疫を乱す原因は7つあります。それは、
①排便の異常(便秘・下痢)
②肉体疲労
③ストレス
④冷え
⑤飲酒
⑥生理(女性)
⑦長時間の座り仕事
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そもそも、毎日のように便が通過する肛門は、おせじにも清潔とはいえません。にもかかわらず、肛門が健康でいられるのは、細菌の攻撃力に負けない防御力があるからです。これを「局所免疫」というそうです。

ところが、上に挙げた①~⑦の影響で局所免疫が低下すると、細菌の攻撃力が勝って肛門に炎症が起こり、痔を発症する可能性があるそうです。

痔を自力で改善する方法

いかがでしたでしょうか。『夢21』には痔は自力で改善できるとあり、大学教授が考案した「お尻ねじり」をはじめ、多数の方法が掲載されています。
また、痔を注射一本で治す日帰り治療など、病院の新療法も網羅。もちろん、手術についても解説されています。

大半の痔の人は、手術を回避したいと考えているはずですし、そのヒントがたくさんありますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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出典:『夢21』10月号(詳細はわかさ出版ホームページにて)
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