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【動画あり(わかさ出版監修)】尿漏れ改善の骨盤底筋体操3つ。特に「骨盤リズム弾み」に注目!

解説 カラダネ編集部

尿漏れや頻尿の自力対策として、最もよく知られているのが骨盤底筋の体操。続けることで尿漏れが改善する人ももちろんいますが、中には改善を感じることができない人も。

従来のやり方の欠点をカバーする新型・骨盤底筋体操「骨盤リズム弾み」を、運動療法にくわしい医師の武田淳也先生(スポーツ・栄養クリニック理事長)が提唱されています。

もちろん、尿漏れや頻尿を自覚したら泌尿器科で診てもらうことが重要です。専門医の治療方針に従ったうえで、記事で紹介する「骨盤リズム弾み」も試してみてください。




骨盤底筋体操はなぜ尿漏れを改善するのか

多くの尿漏れに共通する原因は快尿筋にあり

尿漏れの原因は実にさまざま。クシャミや咳、大笑いで尿が漏れる腹圧性尿失禁や、過活動膀胱(膀胱が勝手に収縮すること)が原因で起こる切迫性尿失禁などが代表的です。
そのほか、男性であれば前立腺肥大、女性であれば骨盤臓器脱などが原因で尿がチョロチョロ漏れる溢流性尿失禁などもあります。

このように尿漏れの原因は多岐にわたりますが、悩みを抱える大半の人にはある共通点があります。それは、下半身にある骨盤底筋群、カラダネが呼ぶところの「快尿筋」が衰えていることです。

快尿筋(骨盤底筋群)とは?位置と構造を図解

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快尿筋は、正式名称は「骨盤底筋群」といいます。恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋など骨盤の底部(下部)にある筋肉の集まりです。膀胱や尿道を支えているため、ここが衰えると快尿にはなれずに尿漏れを招きます。
つまり、快尿になるためには欠かせない重要な筋肉群というわけです。

快尿筋を鍛え、働きを強化するのが骨盤底筋体操の目的

快尿筋にくわしいスポーツ・栄養クリニック理事長で医師の武田淳也先生は次のように話します。
「快尿筋は水道でいう「蛇口の働き」を担っています。水道の蛇口は、開いたり閉めたりすることによって水を出す、止める、そして出す量を調節するといった働きを担っています。
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尿を出すさいは「開く・閉める」蛇口の働きを快尿筋が担っているというわけです。つまり、快尿筋が柔軟で強ければ排尿をうまくコントロールできるようになります。
ところが、快尿筋が衰えるとそうはいきません。蛇口が緩むと水が出しっぱなしになったり、ポタポタとたれたりするでしょう。それと同じことが体でも起こって、尿漏れが続くというわけです」(武田先生)

武田先生の話をまとめると、快尿筋を十分に強めることができれば、さまざまなタイプの尿漏れを改善できる可能性が高まることがおわかりいただけるでしょう。そのための運動が骨盤底筋体操なのです

一般的な骨盤底筋体操の方法と問題点

膣や肛門の筋肉を締めるだけの簡単体操

これまで、多くの泌尿器科で肛門や膣の筋肉を引き締めたりゆるめたりする骨盤底筋体操が指導されてきました。最も一般的な骨盤底筋体操は以下のとおりです。
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❶床の上にあおむけに寝てひざを立てます。その状態で膣や肛門の筋肉に力を入れて、10秒ほど引き締めます。
❷10秒後、引き締めた筋肉をゆるめてリラックスします。①と②の動作をくり返してください。
この体操、ご存じの人も多いのではないでしょうか?

深部筋肉である快尿筋をうまく動かすにはコツがいる

以上の骨盤底筋体操は、きちんと実践して快尿筋を鍛えることができれば尿漏れの大半は改善します。ところが、実践しても思ったように改善しないという人がいるのも事実です。

武田淳也先生は次のように話します。
「これは、快尿筋が体の奥深くにある深部筋肉のために自分では意識しにくく、動かし方のコツをつかまないと体操による症状の改善が実感しにくいからです。
そして、結局は尿漏れを克服できないうちに体操をやめてしまったり、失敗をくり返したりするケースが多いといわれています」

新型の骨盤底筋体操「骨盤リズム弾み」(×2)の方法

骨盤リズム弾みVer.1の方法(動画あり)

そうした中で、快尿筋の強化に失敗続きの人でも筋肉を意識できなくても快尿筋が鍛えられる方法が米国で開発され、今大きな注目を集めています。それが、ここで紹介する「骨盤リズム弾み」です。

武田先生は話を続けます。
「骨盤リズム弾みは米国の婦人泌尿器科の専門医であるブルースクロフォード氏が考案した新しい運動で、正式には「ピフィラティス」と呼ばれる運動法の一つ。やり方は以下のとおりです(一部、武田医師が改変したものが含まれます)。

❶両足を肩幅に開いてつま先立ちになる。
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❷つま先立ちの状態で、腰を落としていく(つらい人は床にかかとをつけてOK)。
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❸腰を落とした状態から、腰を上下にリズミカルに動かす。跳ね上げるときに息をフッと吐く。
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まずは❶のときに無意識のうちに快尿筋に力が入ります。次に、❷のときに快尿筋の持久力が鍛えられ、❸の動作では瞬発力を鍛えることができるように設計されています。


専門家の貴重な実演動画もありますのでご覧ください(カラダネ編集部)。

おそらく、大半の人がすぐにできる動作ではないでしょうか。

さらに作用がアップする骨盤リズム弾みVer.2の方法(動画あり)

また、少し体勢を変えるだけで、さらなる症状の改善が実証された骨盤リズム弾みの方法があります。
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❶つま先立ちの状態で片方の足を一歩踏み出す。それを5回くり返す。
❷その状態でひざを軽く曲げて骨盤を落とす。次に、力をためて体を一気に跳ね上げるように、ひざを伸ばす。」


専門家の貴重な実演動画もありますのでご覧ください(カラダネ編集部)。

医学的に実証された骨盤リズム弾み、「ピフィラティス」とは

骨盤リズム弾みで快尿筋に大きな刺激

骨盤リズム弾みにくわしい武田先生に、さらに話を聞きました。
「骨盤リズム弾みの最大の利点は、快尿筋が意識できなくても簡単に鍛えられ、しかも数ある快尿筋強化体操の中でも群を抜いた改善が見られたこと。

骨盤リズム弾みをはじめとしたピフィラティスの動作一つひとつが、快尿筋に加わる刺激が強まるとわかっています。考案者のクロフォード氏によれば、この骨盤リズム弾みは、平常時に比べて18倍以上も刺激が強まるといいます」

さらに、さらに強力なVer.2では、40倍の作用が得られると実証されています。
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120種の体操を科学的に調査し快尿筋を刺激する運動を考案

「婦人泌尿器科医のクロフォード医師は、以前は最終的には手術で尿漏れなどの根治をめざしていました。しかし、神経が少しでも傷つくと尿を出す機能が損なわれるなど、手術はリスクを伴います。
クロフォード医師は手術による治療に限界を感じ、自力で快尿筋を鍛えることが重要であるという結論にいたります。古今東西に伝わる体操の中からおよそ120種もの動きを調べたそうです。

具体的には、ワイヤレスビデオEMGという特別な無線の筋電系を使い、快尿筋を強く刺激する10種類の体操を導き出しました。
そして、それらを運動プログラムとしてまとめたものを総称して「ピフィラティス」と命名。骨盤リズム弾みは、そのピフィラティスの一種というわけです」(武田先生)
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骨盤リズム弾みが、優れているのは、エビデンス(医学的根拠)が明確にわかっているという点。クロフォード医師によれば、腹圧性尿失禁の人で手術が必要な患者さんの7割が、ピフィラティスにより、手術を回避できるまでに改善したそうです。

「日本でもこの1~2年で実践者が急増し、尿漏れが改善できた人がたくさんいます。
そのことは、私のクリニックでピフィラティスを指導しているスポーツ・栄養クリニックの理学療法士や健康運動指導士の報告からも明らかです」(武田先生)

骨盤リズム弾み体験談(80歳Aさん女性の場合)

以下は、2016年に健康情報誌『夢21』に掲載された患者さんの体験談です。

クシャミや咳で尿漏れ……旅行も諦めていた

福岡県に住む松山富子さん(仮名・80歳)は、腰の脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)による歩行障害を改善するため、3年前から私のクリニックに通っています。
松山さんは、狭窄症に加えてクシャミをした拍子に起こる尿漏れに悩んでいました。

松山さんは、年に2回、飛行機に乗って東京在住の娘さんに会いに行くことを楽しみにしていたそうです。しかし、あるときから飛行機の揺れで尿漏れが起こるのではないかと不安になり、東京行きを断念しなければならなくなったのです。

骨盤リズム弾みなどピフィラティスを半年実践すると尿漏れが改善!

スポーツ・栄養クリニックの理学療法士は、松山さんに尿漏れを改善してもらいたいと、骨盤リズム弾みを含むピフィラティスを指導して、実践してもらうことにしました。
もちろん、最初からピフィラティスをマスターできたわけではありませんが、1カ月かけてやり方を指導したといいます。

すると、半年後には尿漏れが起こらなくなり、咳やクシャミをしても全く心配がない状態にまで改善したそうです。

その他、男性の尿漏れや夜間頻尿の改善報告も多数

ほかにも、60代の男性の例でも、尿漏れパッドが手放せなかった人が、骨盤リズム弾みを含むピフィラティスを実践することで、尿漏れがみるみる改善したといいます。
さらに、尿意がなくても漏れる溢流性の尿漏れが改善した人、夜間頻尿の悩みが改善に向かった人など、よくなった人は枚挙にいとまがありません。

ぜひ、みなさんも医師の治療を受けるとともに、骨盤リズム弾みを今日から試してみていただきたいと思います。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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※記事の執筆ドクターが特定商品の購入等を推薦するものではありません。

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