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【胆石の治療法】薬・破砕法・手術が基本。「胆石の大きさ」「できた場所」で治療法は変わる

解説 かなまち慈優クリニック院長
高山哲朗

食後にみぞおちあたりが痛む人は胆石の疑いがあります。必ず専門医に診てもらってください。
また、健康診断や人間ドックで胆石が見つかっても、無症状の場合は、経過観察といわれる人が多いそうです。というのも、疝痛発作や発熱、黄疸などの症状が現れていないうちは、胆のうは正常に機能していると考えられるからです。

胆石で経過観察の場合、定期的に検査をして胆石の状態を確認し、変化があれば対処することになります。

この記事では、胆石が見つかった場合に行われる基本的な病院での治療について、かなまち慈優クリニック院長の高山哲朗先生に話をお聞きしました。

胆石とは何か、どんな症状か、については一番下の関連記事をご覧ください。



胆石が15ミリ以下なら薬で溶かすことも可能

コレステロール胆石でさらに直径が15ミリ(できれば10ミリ)未満であれば、薬によって胆石を溶かすことが可能です。

薬は主に「ウルソデオキシコール酸」が用いられます。このウルソデオキシコール酸は胆汁酸と呼ばれるものの一種です。なんらかの原因で不足した体内の胆汁酸を補うことで、コレステロール胆石が溶けるのです。薬の服用を半年~2年ほど続け、ゆっくりと胆石を溶かします。ただし、薬物治療は、胆のうの働きが正常でないと薬の働きが期待できません。

薬を飲み続けないと胆石が再発する可能性も

さらに、このウルソデオキシコール酸単体で飲んだ場合では、24~38%の割合で胆石が溶けるとされており、必ず胆石が溶けるわけではありません。さらに、薬を飲みつづけないと、12年以内に61%の再発率があります。

つまり、薬物治療には胆石の種類なども含め、条件があるため、主治医と相談して検査や治療を進めてください。Fotolia_164725463_Subscription_Monthly_M-1.jpg

胆石で15ミリ以上なら破砕法が検討。有効率は63~90%

胆石の激しい疼痛発作がくり返し起こる場合や、胆石がすでに大きくなっている場合の治療を解説します。

胆石症の症状があっても、胆のうにできた数が少なく、小さなコレステロール胆石であれば、先に述べた薬物治療が有効なこともありますが、すでに胆石が15ミリ以上になっている場合は、衝撃波で胆石を砕く、体外衝撃波結石破砕法(EWSL。以下、破砕法とする)が有効です。

1回の治療で胆石を除去できない場合は、複数回にわたって衝撃波による治療を行ったり、小さくなった胆石を薬物療法で溶かしたりする治療が併せて行われます。胆のうの機能が正常であれば、6390%の胆石を取り除くことが可能です。

ただし、この破砕法にも条件があり、胆石の大きさが2~3センチまで、数は3個までとされています。また、胆管にできた胆石は、除去が難しいため、内視鏡を使って、十二指腸から取り除くことが可能です。

胆のうを取り除いても胆石はできる

胆石症の症状が悪化し、胆のうがほとんど機能していない場合、胆のう自体を取り除きます。現在では、開腹せずに胆のうを摘出する、腹腔鏡を用いた非開腹摘出術が一般的です。

非開腹摘出術は、手術の翌日から食事をとることができて3~4日で退院できますが、胆のうの状態により、開腹手術のほうが適切な場合もあります。

ただし、胆のうを取り除いたとしても、胆石ができなくなるわけではありません。胆管や総胆管で、まれに胆石ができることもあるので、胆石ができないような生活習慣を身につけることが重要です。

胆石の人は、専門医に診てもらったうえで適切な治療法を選んでください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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