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便秘対策に冷やご飯がおすすめ。ご飯を冷ますと腸内環境を整えられる?

解説 栄養学博士
白鳥早奈英

みなさんは普段、お米をよく食べますか?
毎食は食べないという人でも、炊き立ての温かいご飯は誰でも好きなはず。ところが、便秘で悩む人は、ご飯を冷まして食べることで、腸内環境が整う可能性があるとわかってきました。

冷めたご飯になぜ便秘改善に役立つのか、栄養学博士である白鳥早奈英先生にお聞きしました。

もちろん、冷やご飯だけ食べても、確実に便秘が改善するわけではありませんので、規則正しい食事や運動が重要であることを忘れずに。また、たかが便秘と軽視せずに専門医に診てもらうことも大切です。



便秘の人は腸内環境を整えるレジスタントスターチを

私たち日本人が、日常的に食べているご飯。そのご飯を、ホカホカの温かい状態ではなく、冷ました状態で食べることで、便秘を改善する働きが得られるのでは?と最近わかってきました。

その秘密は「レジスタントスターチ」という成分にあります。冷めたご飯などに含まれる消化されにくいでんぷんのことで、またの名を難消化性でんぷんともいいます。でんぷんは加熱されると、それぞれの組織が離れて消化されやすくなり、最終的に小腸で消化・吸収されます。
 
ところが、冷ましたご飯に含まれるでんぷんは、消化されにくい構造に変化しています。それぞれの組織がくっついているので、簡単に消化・吸収されないのです。そのため、小腸で吸収されることなく、大腸まで運ばれて排出されていくのです。
でんぷんが含まれている食材は、ご飯だけでなく、パン、麺類、イモ、豆類などもあります。これらの食材に含まれているでんぷんのアミロースという成分が、冷めていく過程でレジスタントスターチに変化していくと考えられているのです。

便秘の改善に役立つ食物繊維に変わる?

レジスタントスターチは、食物繊維のような働きをします。大腸内で、体内にたまった毒素や余分な脂肪などをからめ取って体外に排出し、腸内環境を整えてくれます。
ちなみに、食物繊維には、水に溶けない不溶性と水に溶ける水溶性があります。不溶性食物繊維は便のカサを増やして便通を促し、水溶性食物繊維は腸の働きをよくして元気に保つ働きがあります。その点、レジスタントスターチは、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方の働きを併せ持っています。

このようなレジスタントスターチの整腸作用を活かして便秘の改善に役立てるためには、ご飯は冷ました状態で食べるのがおすすめです。手軽に食べるなら、おにぎりにするのがいいでしょう。ただし、一度冷えたご飯を温めると、65~70度Cでレジスタントスターチはもとのでんぷんに戻ってしまうので要注意です。

どうしても冷やご飯を食べるのが好きではないという人もいるかもしれません。その場合、ご飯は55度Cぐらいまでは温めてもかまいません。ふつう、人が口にできる食べ物の温度は55度Cぐらいまでです。やけどをしない温度であることを目安にするといいでしょう。

冷やご飯をおいしく食べる方法としては、お茶漬けがおすすめです。冷や飯に、55度Cから60度Cぐらいまでのお茶や汁物をかけて食べるのです。冷やご飯をおいしく食べて腸を整え、便秘の改善に役立ててはいかがでしょうか。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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