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【専門医解説】尿路結石の基礎知識(症状や結石の種類、治療法、再発率)まとめ

解説 順天堂大学医学部泌尿器科学講座准教授
磯谷周治

「尿路結石(症)」あるいは「結石」という言葉を、一度は耳にしたことがあると思います。尿路結石は「七転八倒の苦しみ(痛み)を引き起こす」ことでよく知られています。

すでに尿路結石と診断されている方は、痛みを予防することが重要です。そのために、まずは尿路結石とはどういうものかを知る必要があります。
この記事では、尿路結石の基礎知識について、順天堂大学医学部泌尿器科学講座准教授の磯谷周治先生に話をお聞きしました。

すでに尿路結石の人、尿路結石が疑われる人はまずは専門医の治療を受けることが最重要であることを忘れないでください。



結石は、尿の成分が結晶化したもの

尿路結石とは、腎臓で作られた尿が排出されるまでの通り道である「尿路」に、尿の成分が結晶化して石のような固まりになったものです。
その結石が腎臓と膀胱をつなぐ「尿管」や、膀胱と外尿道口をつなぐ「尿道」につまってしまい、さまざまな症状を引き起こします。

尿路結石の種類は4種。結石のある位置で4種に変わる

腎臓と尿管は「上部尿路」、膀胱と尿道は「下部尿路」といい、尿路結石症の96%は、上部尿路で結石がつまることによって発症します。また、結石のある位置によって、「腎臓結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」と大きく4種類に分類されます。

結石とは、カルシウムをはじめとする成分がなんらかの原因で結晶化したものです。通常、尿路結石症といえば、尿管にカルシウム結石がつまるケースが大半を占めるといっていいでしょう。

尿路結石になりやすい人や年齢、季節とは?

尿路結石は男性に多い。一生のうちで7人に1人がかかる可能性がある

尿路結石症は、決して珍しい病気ではありません。近年、尿路結石症にかかる人が増えつづけており、器科では非常に頻度の高いの一つとなっています。一生のうちに発症する確率は、男性が15.1%、女性が6.8%。つまり、男性の7人に1人、女性の15人に1人が尿路結石症にかかるのです。

かつては、尿路結石が発症する年代のピークは、男性が3040代、女性が40代でしたが、現在は中高年層へと移行しているので、あらゆる年代で尿路結石には注意が必要です。

尿路結石は夏場に多発。汗をかいて尿が濃縮されるため

尿路結石症を発症しやすいのは、6~8月の夏場。逆に12~2月の冬場は、尿路結石症の患者さんが減少します。夏場に尿路結石症が起こりやすいのは、暑さで汗をかくからです。発汗で体の水分が不足すると、尿が濃縮されて結石が大きくなり、尿管でつまりやすくなります。

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尿路結石の症状は背中やわき腹などに起こる疝痛

尿路結石症になると、さまざまな症状が現れます。その典型症状は、背中やわき腹、下腹部に起こる「疝痛(せんつう。激しい腹痛)発作」という激烈な痛みです。

疝痛発作は、腎臓の中にできた結石が落ち、尿管がつまることで起こります。その痛みは、七転八倒の苦しみを伴い、救急車で病院に搬送される人が少なくありません。

そのほか、尿路結石症にかかると、血尿・頻尿・残尿感・排尿痛・排尿困難・発熱といった症状が現れます。このうち、頻尿や残尿感、排尿痛、排尿困難が起こった場合、尿道に結石がつまっていると考えられます。

尿路結石の治療法。水飲みや衝撃波、手術などがある

尿路結石症の治療法としては、できるだけ多くの水分をとって尿量を増やし結石を流し出す「自然排石法」や薬物療法などの保存療法のほか、衝撃波で結石を破砕したり、手術で結石を取り除いたりする侵襲療法が行われます。
一般に、結石のサイズが1センチ以上で、自然排石が期待できない場合は、侵襲療法が検討されます。

尿路結石の再発率は、10年以内に60%?

尿路結石症がやっかいなのは、再発が非常に多いことです。薬物治療を続けないと3年以内に約30%、10年以内に約60%の人が再発します。

ただし、尿路結石は、シュウ酸カルシウム結石であれば、日常生活の改善で、発症・再発の可能性をかなり減らすことができます。

十分な水分補給とともに、動物性のたんぱく質・脂質・シュウ酸のとりすぎを防いだり、マグネシウム・クエン酸を積極的にとったりするなど、日常生活で食事のとり方に気をつけて再発を予防することが重要です。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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