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【こむら返りの予防法】リンパの流れと血流を促す新マッサージ「ふくらはぎ絞り」

解説 せき接骨院院長
関 博和

こむら返りは、予防が肝心です。
こむら返りの自力対策「ふくらはぎ絞り」を患者さんにすすめている治療家の関博和先生に話を聞きました。

関先生は、こむら返りの予防は自分で簡単にできるといいます。
ただし、慢性的に悩まされている人は、別の病気が隠れている場合もあります。整形外科や一般内科などで診てもらって治療を受けてください。

こむら返りの予防に、血流とリンパの流れをよくしよう

私は、こむら返りの場合は予防こそが大切で、その予防は、これまでの治療経験からみなさんご自身でできると考えています。ポイントは、ふくらはぎの血流やリンパの流れをよくすること。
まずは、血流について解説しましょう。

血液は、心臓から押し出されたあと、動脈を通って体のすみずみへと運ばれていきます。そして、体の末端まで到着した血液は、静脈を通って心臓へと戻されます。

ところが、動脈を通るときとは違って、静脈を通る血液には心臓からの圧力がほとんどかかりません。その代わりに、静脈の周囲の筋肉が伸縮することで、血液が心臓に戻るようになっています。いわば、筋肉がポンプの役目を担っているのです。
この働きを、乳搾り(ミルキング)の動きになぞらえて「ミルキングアクション」と呼びます。

ミルキングアクションの役目をする、最も重要な筋肉が、ふくらはぎの筋肉です。
s_ Cramps2.jpgふくらはぎは、体の表面に近いところにある腓腹筋と、深部(骨の近く)にあるヒラメ筋で構成され、地面をけって前へ踏み出す推進力を生み出したり、体をまっすぐに支えたりする役割があります。

ふくらはぎの筋肉は、まるで乳搾りをするように伸縮することで、静脈に圧力をかけて、血液を心臓へ押し戻すポンプの役割を果たしているのです。まさに、ふくらはぎは下半身の静脈の血液循環の動力源で、第二の心臓ともいえる重要な部位なのです。

ふくらはぎの筋肉は、血液を循環させるだけではありません。リンパ液の流れを促すポンプ役でもあります。リンパ液とは、毛細血管からしみ出した液体(細胞間液)で、リンパ管という管の中を通って疲労物質や古い細胞などの老廃物を運び、尿として体外へ排出するのを助ける働きがあります。

リンパ液は、血液のように心臓によって全身に送り出されるわけではありません。リンパ管のまわりにある筋肉によるミルキングアクションによって流れています。その速度は1分間で25センチといわれ、とてもゆっくりと流れているのです。

このリンパ液を、重力に逆らって強力に循環させるには、血液と同様にふくらはぎのミルキングアクションが必要となります。そのため、ミルキングアクションが衰えると下半身に疲労物質や老廃物がたまり、こむら返りが起こりやすくなってしまうのです。
逆にいうと、こむら返りのある人はふくらはぎのミルキングアクションが衰えている可能性があるのです。

ふくらはぎを「しめる」「伸ばす」「ゆるめる」マッサージで予防

では、ふくらはぎのミルキングアクションを強めるにはどうしたらいいのでしょうか。私が考える最も簡単な方法は、ふくらはぎをもんでマッサージすること。
といっても、やみくもにマッサージしてはいけません。ふくらはぎを絞るように行うのがポイントです。
s_ Cramps3.jpg
ポイントは、両手で輪を作るようにふくらはぎを包み込み、5本の指で絞るように体液を押し流すことです。このとき、「しめる」「伸ばす」「ゆるめる」という動きをくり返すことで、体液が流れやすくなります。
ただマッサージするのではなく、この3動作を一挙に行うことが大切なのです。やり方は以下のとおりです。

こむら返り予防のマッサージ「ふくらはぎ絞り」のやり方

イスに浅く腰掛けるか、床に腰を下ろして、下半身をリラックスさせましょう。
次に、左右の手で輪を作って、ふくらはぎ下部(足首側)を包み込むようにします。このとき、両親指をすね側、残りの4本の指をふくらはぎ側に当てるようにしてください。
そして、下のやり方の図に沿って試してみてください。

s_ふくらはぎ絞り.jpg
両手で作った輪を縮めるように強くしめ(しめる動作)、上に向かってしごくようにずらしてから(伸ばす動作)、パッと力をゆるめる(ゆるめる動作)のが基本。
最初に両手でしめた位置から2~3センチ上の位置で、同じようにしめる動作→伸ばす動作→ゆるめる動作をくり返しながら、足首からひざ下までゆっくりとマッサージしてください。

ひざ下まで行ったら、今度は逆向き(ひざ下から足首のほう)に向かって、しめる動作→伸ばす動作→ゆるめる動作をくり返していきます。
これを往復3回くり返したら、反対側の足も同様に行います。

ふくらはぎ絞りを行うと、ふくらはぎの筋肉が柔らかくほぐれ、血流がよくなってポカポカと温かくなります。単に押したりもんだりするよりも、筋肉が動かしやすくなるので、体液の流れがよくなるのです。
これを行うことによって、こむら返りが起こりにくい体になっていくはずです。

こむら返りの予防法まとめ

こむら返りで悩んでいる患者さんのふくらはぎを触ってみると、ほとんどの場合、硬くひんやりと冷たい状態になっています。
実は、ふくらはぎの筋肉は、体内でも冷えやすい筋肉なのです。しかもふくらはぎは大きな筋肉だけに、一度冷えると温まるまでに時間がかかります。そのようなときにふくらはぎ絞りを行えば、ふくらはぎは一気に柔軟になり、体液がドッと流れて代謝がアップします。

こむら返りで悩んでいる人はもちろん、足のむくみ・冷えなどがある人にもふくらはぎ絞りはぜひおすすめです。
最後に、こむら返りがなかなか治らないという人は、医師に診てもらうことも肝心です。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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