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【足裏が痛い、ひざ痛もある】原因は足裏アーチの変形かも。立ち仕事の人は要注意

解説 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長
戸田佳孝

長い時間立っていたり、歩いたりすると足裏や膝が痛くなる人は多いと思います。特に、立ち仕事をしている人は日々の疲労の蓄積も重なり深刻に悩んでいる人も少なくないはずです。実は、そうした足の痛みは、「足裏アーチの変形」が原因かもしれません。

足裏アーチとは何なのか、戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田佳孝先生に解説していただきました。

足裏やひざ痛がある人は、整形外科医の治療を受けて、そのうえでセルフケアを試してみてください。

足部は26個の骨で構成され、柔軟に動かせる

みなさんは長時間、立ち仕事をしていて、足裏やひざが痛くなったことはないでしょうか。
そうした経験がある人は、「足部(そくぶ)」(爪先・足の甲・かかと・くるぶし)が変形しているのかもしれません。

足部は一見すると平べったく、足指がある以外は単純な形をしているように思えます。
しかし、その骨格をくわしく見ていくと、足部はかかと部分の足根骨(そっこんこつ) 、足の甲部分の中足骨(ちゅうそくこつ) 、足指部分の 趾骨(しこつ)という3つに大別され、全部で26個の骨で構成されているのです。
このようにたくさんの骨で構成されているため、足部は驚くほど柔軟に動くことができます。そのおかげで、私たちはスムーズに歩いたり走ったりすることができるわけです。

そのため、足部が変形してしまうと、さまざまな問題が起こってきます。中でも最も起こりやすい足部の変形は、足裏アーチがくずれてしまうことです。

足裏には縦アーチと横アーチがある

たくさんの小さい骨がつながって構成されている足部は、柔軟性に富み、立ったり歩いたりしたときに、地面から受ける衝撃を適度に分散させることができます。その主役となるのが「横アーチ」「縦アーチ」と呼ばれる足部の立体構造です。

1b1e84c5eceb396ca76b17983bed794f483479fd.jpgちなみに、縦アーチは内側と外側に1つずつ(計2つ)あります。横アーチは「母趾球(ぼしきゅう)」(親指のつけ根)と「小趾球(しょうしきゅう)」(小指のつけ根)、縦アーチは母趾球とかかと(足部の内側)、小趾球とかかと(足部の外側)がつながってできています。
これらのアーチは、全身の重みを支えて安定を保つとともに、歩くさいに地面をけったり着地したりしたときに、 衝撃を和らげる働きを担っています。また、転倒しないようにバランスを取ることも、 足裏アーチの重要な役割です。

足裏が地面に接する面積は、ごくわずかです。にもかかわらず、足部が地面からの衝撃を受け止め、体のバランスを保てるのは、まさに縦横の足裏アーチのおかげといえます。

足裏アーチが変形するのは、足裏の筋肉の衰えが原因

足裏アーチの変形は年齢に関係なく起こりますが、中高年に多発する傾向があります。これは、年齢を重ねるにつれて、足裏を支える足底(そくてい)筋群や後脛骨(こうけいこつ)筋などの筋肉が衰えて、アーチがつぶれやすくなるためです。

縦アーチがつぶれると、土踏まずが消失し、足裏が起伏のない平らな状態、すなわち扁平(へんぺい)足になります。立ち仕事を続けたあとなどに足裏が痛む足底筋膜炎は、主にこの縦アーチがつぶれることで起こります。

一方、横アーチがつぶれると足幅が広くなり、母趾球と小趾球の支点がうまく働かなくなります。これを開帳(かいちょう)足といい、扁平足を併発している人も少なくありません。

足部の変形を招く原因は、いくつか考えられますが、靴や靴下を履く習慣と、長時間の立ち姿勢が問題でしょう。
靴や靴下を履いていると、足指があまり使われなくなって、足部の立体構造を支える足底筋群や後脛骨筋の筋力が衰え、縦横のアーチが下がるようになります。また、足部の筋力が衰えている人が立ち姿勢を長時間続けると、足裏に偏った力がかかって、縦横のアーチがいっそう下がってしまいます。

その結果、扁平足や開帳足を招いてしまうのです。

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足裏アーチが変形すると衝撃を吸収できず、痛みを招く

足裏のアーチがくずれると、歩くさいの衝撃を、うまく受け止めることができなくなります。さらに、足首の角度が変化して体のバランスがくずれ、ひざ関節に偏った力が加わるようになります。

そのため、足裏の痛みばかりか、ひざ痛まで引き起こすようになるのです。

立ち仕事を続けたり、歩いたりしたあとに、足裏が痛むという人は、一度、整形外科を受診することをおすすめします。併せて衰えた足底筋群や後脛骨筋を強化することも重要です。
足裏のアーチを強化する体操については、別の記事で解説をします。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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