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【医師解説のチョコレート健康法①】高カカオチョコなら食後血糖値の急上昇が防げる?

解説 栗原クリニック東京・日本橋院長
栗原 毅

2月14日はバレンタインデーもあって、チョコレートを食べる機会も多いのではないでしょうか。チョコレートというと、血糖値を気にする人はどうしても食べるのを控えがちです。

ところが、最近ではチョコレートの中でも原料となるカカオの含有量が70%以上の高カカオチョコは、血糖値が上がるのを抑える働きが期待できるとされ、人気になっています。
医師で栗原クリニック院長の栗原毅先生に話を聞きました。

とはいえ、食べ過ぎは禁物であることを忘れずに。

血糖スパイクが今大きな問題になっている

糖尿病について、最近は「血糖スパイク」をさけることが重要といわれます。血糖スパイクは、空腹時血糖値を調べる一般の健康診断では見つかりにくいため、知らぬまに体を蝕んでいる可能性があります。
NHKなどのテレビ番組でも取り上げられたことから、その怖さについてご存じの人も多いかもしれません。

簡単にいうと、血糖スパイクとは食後血糖値の急上昇のこと。食後の1~2時間だけ血糖値が急上昇する状態です。
食後血糖値の上昇が激しいほど、血管を傷めてしまいます。空腹時の血糖だけではなく、食後血糖値の急上昇にも対策が必要なのです。

血糖スパイクを防ぐため、チョコファーストを

血糖スパイクの予防には、食事で糖分が多いものを食べすぎないことが何より重要ですが、私がみなさんにぜひ知っていただきたい情報がもう一つあります。
それは、高カカオチョコを食前に食べる「チョコファースト」の実践です

実は、カカオ分の含有量が多い高カカオチョコには、血糖値の上昇を抑える働きが期待できる可能性があるのです。
血糖値の上昇をゆるやかにする要因は、高カカオチョコにカカオポリフェノールと食物繊維が多く含まれているため。

高カカオチョコ100グラムのポリフェノール含有量は2714ミリグラムとされます。これは、高ポリフェノールで知られる赤ワインでも180ミリグラムなので、なんと15倍にもなります(下のグラフ参照)。
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さらに、食物繊維はゴボウの食物繊維が6.1グラムなのに対して、ミルクチョコレートでは3.9グラム(7訂食品成分表調べ)、高カカオチョコでは11.4グラムとゴボウの2倍近い食物繊維が含まれています(下のグラフ参照)。
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このカカオポリフェノールと食物繊維が血糖値の急上昇を抑える働きをすると考えられます。

食後血糖値の上昇を防ぐとイタリアの病院の調査でわかった

具体的な働きですが、カカオポリフェノールにはインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなり、血液中のブドウ糖が処理できない状態)を低下させ、インスリンの効きをよくする働きが期待できると考えられます。

さらにチョコレートに多い食物繊維のリグニンは、消化吸収を緩やかにする作用があり、食事からとった糖質の消化吸収が遅くなるため、食後血糖値の急上昇が抑えられる可能性があるのです。

実際にチョコレートの血糖値急上昇を抑える働きは、イタリアのサンサウレバトレ病院の調査で確認されたそうです。同じ調査で、ホワイトチョコレートとカカオ分が多いダークチョコレートを食べたあと、ブドウ糖75グラム入りの飲料を飲んで血糖値の変化を調べました。

ダークチョコレートは、インスリン抵抗性を低下させて、逆に感受性を高めていたことから、インスリンの効き方をよくする働きが期待できるとわかりました(下のグラフ参照)。
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ヘモグロビンA1cが安定した人もいる

では、実際に高カカオチョコの食べ方について私のおすすめを紹介します。
最近、血糖値の上昇をゆるやかにするための食事法として、サラダや根菜類などの食物繊維がたっぷり含まれている食材を食事の最初にとり、糖質の吸収を遅くして、血糖値の上昇をゆるやかにする「ベジタブルファースト」が推奨されています。

そこで、血糖降下作用が認められている高カカオチョコを食事の初めに食べる「チョコファースト」も試してみてはいかがでしょうか。

私は、チョコファーストなら患者さんも簡単に続けられるのではと思い立ち、実際に患者さんに指導したところ、食後高血糖だけではなく、ヘモグロビンA1c(1~2カ月間の血糖値の推移を示す値。6.5%以上で糖尿病型と診断される)の値が安定した人もいました。
これは、チョコレート好きの方にはとても期待が持てる結果ではないでしょうか。

1日5グラムを5回に分けて食べよう

では、血糖スパイクを予防するためには、具体的にどのようにチョコレートを選び、どのくらいの量を食べればいいのでしょうか。

血糖スパイクの予防に貢献するカカオポリフェノールと食物繊維は、原料のカカオに含まれているため、カカオの含有量が多いものを選ぶことがポイント。そこで、目安はカカオの含有量が「70%以上」のチョコレートです。最近では、スーパーやコンビニで手軽に手に入ります。

中には80%や90%の含有量の製品もあります。もちろんカカオの含有量が増えれば、それだけポリフェノールと食物繊維の量は増えますが、食べにくさもあるので、まずは70%を目安に選んでみるといいでしょう。

チョコレートは嗜好品なので、1日にどのくらいの量を食べればいいかというのは難しいのですが、高カカオチョコについての主な研究報告を参考にすると、1日25グラムをとることが推奨されます。
板チョコの1/2枚が約
25グラムなので、それを目安にするといいでしょう。

ただし、ポリフェノールの抗酸化力は、あまり持続性がないので、一度に食べるより、5回に分けて一片5グラムずつ食べるのがコツです。大きさにすると、親指大が5グラムの目安です。
高カカオチョコは、ほかにも美容やアンチエイジングを気にする人にもおすすめです。ぜひお試しください。
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最後に、血糖スパイクの疑いがある人や糖尿病の人は、必ず専門医に診てもらって治療を継続することは忘れないでください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/©カラダネ © Fotolia

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