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【逆流性食道炎の治し方】放置すると食道がんのリスクが高まる?今すぐ対策を

解説カラダネ編集部

逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせい しょくどうえん)で悩む人が増えているといいます。
現在発売中の健康情報誌『夢21』2017年12月号(2017年11月2日発売号)は、逆流性食道炎の大特集号ですが、その中では国民の3人に1人がその可能性があると医師が指摘しています。
疑いがある人は、必ず消化器内科を受診してください。

なお、逆流性食道炎はなぜ起こるのか、その症状やセルフ診断については下記の記事で解説されています。

放置すると食道がんも招く?早く治そう

逆流性食道炎を含む胃食道逆流症(いしょくどう ぎゃくりゅうしょう)の症状は、食後一定時間が過ぎれば治まるそうです。
ところが、放置すると食道がんなどの病気を招く可能性もあります。

例えば、高齢者の生死にかかわる誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の原因に、逆流性食道炎などが関係していると数多く報告されています。また、逆流性食道円をくり返すうちに食道粘膜の組織が変質して、バレット食道という状態になります。

バレット食道を生じている人は、そうでない人より食道がんのリスクが10倍高まるといい、欧米では食道がんの約半数はバレット食道にできたがん(腺がん)といわれています。

まだ日本では少ないですが、高脂肪食や高カロリー食など食の欧米化などで逆流性食道炎を含む胃食道逆流症が増えている現実から考えれば、今後こうしたがんが増える可能性は十分にあります。
もちろん、いたずらに怖がる必要は全くありません。軽視するのは禁物ということです。

以上の点から、逆流性食道炎の人は消化器内科に早くかかって治療するのが重要です。

逆流性食道炎の自力での治し方

逆流性食道炎など胃食道逆流症の治療には、一般的に投薬治療が有効ですが、これはあくまで対症療法であって病気を根治させるものではありません。

症状が軽くても、放置するとQOL(生活の質)はどんどん悪化します。
海外の調査では、未治療の逆流性食道炎の患者さんのQOLは、狭心症の患者さんより低いという結果が出ています。軽症の患者さんが多いとされる日本でも、一般の人と比べてQOLは身体的にも精神的にも低下していることが確認されています。

症状を改善しQOLを高めるには、薬だけに頼らず、自分自身で生活習慣の改善や運動療法を行うことも大切です。
これらの自力ケアを怠って、以前と同じような生活をくり返していれば、いくら薬を飲んでも、すぐにもとの症状をぶり返してしまうといいます。

自力ケアは、次の3つの要素を柱にして行いましょう。

①噴門強化
逆流性食道炎の原因は、横隔膜や下部食道括約筋の衰えで起こる噴門(食道と胃の接合部)のゆるみです。実は、この噴門のゆるみは体のバランスが崩れている人に多く見られるといいます。

具体的にはネコ背や体全体のねじれがある人などは要注意。姿勢を正し、ストレッチなどで全身の柔軟性を保つようにしてください。

腹圧ゆるめ
胃の内容物を食道に押し上げているのが、おなかの内部にかかる圧力「腹圧」です。腹圧は肥満や妊娠などで高まることもありますが、逆流性食道炎の患者さんで多いのは、ネコ背や亀背といった姿勢で起こる腹圧の上昇です。
姿勢を正すことは、この点でも大切です。

男性に多いと思われがちな逆流性食道炎ですが、実は60代以上の女性に多いという統計があります。これは、骨粗鬆症や筋力の衰えで姿勢が悪苦なるのが引き金と考えられます。

➂胃酸分泌正し
胃の中に胃酸が多いと、逆流したときに食道にたくさんの胃酸が流れ込んで症状を重くします。胃酸過多を招く脂肪分の多い食事や、肉類などのたんぱく質のとりすぎをさけましょう。

逆流性食道炎は実はピロリ菌の除菌で増える?

近年、胃がんの原因にピロリ菌(正式にはヘリコバクター・ピロリ)の感染が関係していることがわかり、多くの人がピロリ菌の除菌を行うようになりました。そのおかげで胃がんはもちろん、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症が少なくなっています。

これは喜ばしいことですが、ピロリ菌感染者が減ることで、今度は逆流性食道炎などの胃食道逆流症は増えています。実はこれら2つの傾向には、関係があるといわれているのです。

私たちの胃の中には胃酸があり、通常の菌は死滅します。ところが、ピロリ菌は特殊な酵素を持っていて、アンモニアを生成することで胃酸を中和して身を守り、胃の中で生きつづけることができます。
ピロリ菌が胃の中にいると、胃炎や十二指腸潰瘍などの炎症が起こりやすいため、胃液の分泌が弱まります。

これとは逆に、ピロリ菌がいない(除菌された)胃は炎症がなく健康なので、胃の働きが活発になり胃液がたくさん分泌されます。すると、逆流性食道炎といった胃食道逆流症の症状が現れやすくなるのです。
ピロリ菌の感染経路はくわしくはわかっていませんが、経口感染(飲食物などを介した感染)するとされており、上下水道が未整備だった時代に育った世代に感染者が多く、若い世代では少ないのが特徴です。

こうしたことから、ピロリ菌感染者が多かった昔よりも、ピロリ菌感染者が少なくなった現在のほうが、胃食道逆流症(逆流性食道炎)の症状に悩む人が増えたというわけです。

実際、同一地区での健診受診者を対象に、ピロリ菌感染者と逆流性食道炎の罹患率の変化を調べた研究があります。
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その研究によると、1998年から2005年の7年の間に、ピロリ菌感染者が70.5%から52.7%に減少したのに対して、逆流性食道炎は2.0%から14.3%へと増えたとわかりました(グラフ参照)。

なお、ピロリ菌の有無だけでなく、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群の人も胃食道逆流症を合併しやすいので、該当する人は注意が必要です。

この記事は、『夢21』の医師の解説をもとにまとめました。
『夢21』には、自分でできる治し方として、ストレッチ法や逆流を止める生活術などが掲載されていますので、逆流性食道炎の人は参考にしてみてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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出典:『夢21』12月号(詳細はわかさ出版ホームページにて)
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