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高血圧を下げる食事①【醤油スプレー】を専門医推奨。減塩でき味が断然美味しい

解説 さかい医院院長
堺 浩之

高血圧を下げたい……この目的は、食事の改善なしでは実現できません。
薬を飲むことは高血圧の根本解決になりません。むしろ、最近では薬の弊害も指摘されるほど。

高血圧を下げる食事の秘訣としてまっ先に浮かぶのは「減塩」ですが、そのキーポイントは実は「醤油」にありました。
醤油のとり方を制するものは高血圧を制する……さかい医院の堺浩之先生に話を聞きました。

もちろん、高血圧に悩んでいる方は、減塩に取り組むと同時に、医師の治療を受けることを忘れないでください。

食塩は特に調味料からの摂取が多い

日本には世界に誇れる素晴らしい食文化があります。
食材のうま味を上手に使うことで素材そのもののよさを引き出す調理、それが和食の真髄です。

一方で、日本人はその食事から食塩をとりすぎる傾向があり、高血圧の重大原因になっています。事実、日本人の食塩摂取量は昔に比べると減ってはいるものの、男女の1日平均は約10グラム(2016年度は男性が10.8グラム、女性は9.2グラム)で、欧米諸国の1日平均9グラムに比べると多いのが実情です。
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厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年度)」による1日の食塩摂取目標量は男性8グラム未満、女性7グラム未満。WHO(世界保健機関)の目標量は5グラム未満(成人の場合)。
日本の高血圧学会の治療ガイドラインでは、高血圧の人の目標量は6グラム未満です。

日本人が食塩をとりすぎる原因は、その食文化にありますが中でも特に問題なのは調味料のとりすぎです。
実は食塩摂取量は、国の調査でも調味料からが6割以上を占めるというデータがあります。

食塩のとりすぎが、なぜ高血圧を招く?
実は、食塩の中に含まれているナトリウムというミネラルのとりすぎが問題になります。
ナトリウムは、血液中に一定量含まれていますが、ナトリウムをとりすぎると浸透圧の問題で細胞中の水分が血液中に移動します。
さらに、ナトリウムが増えるとそれを薄めるために、体は水分を補給しようとします。わかりやすくいうと、のどが渇いて水を飲みたくなるのです。
その結果、血液量が増えて血管内にかかる圧力(血圧)が上がります。

いわば、細いホース(血管)に、大量の血液が流れている状態と考えてください。どうしてもホースに圧力が高まることがおわかりいただけるでしょう。これが高血圧になるしくみです。

調味料の中で最も多いのは「醤油」

調味料の中でも、日本人の場合は特に醤油が問題です。摂取量は以前と比べて減りつつあるものの、やはり単独の調味料の中では最もよく使われているのが実情です。

前に述べた食塩摂取量の1日平均約10グラムのうち、約2グラムは醤油からとっているとされます。これは各年代の平均であり、醤油をたくさん使う傾向は、高血圧の人が多い高齢の人ほど増える傾向があります。

つまり高血圧を下げる食事は、醤油をとる量をいかに減らすかがキーポイントの1つになるのです。

日本人は「醤油」が大好き
醤油は、大豆・小麦・塩を原料に、麹菌などの発酵過程を経て作られる日本の伝統的な調味料です。
味も香りも抜群にいいため、和食だけでなく洋食や中華など世界中の料理に合う調味料の王様といっても過言ではないでしょう。
調味料の人気度を調べたあらゆる調査でも、醤油の人気は断トツです。ある調査では人気第1位が醤油で58%、第2位が食塩で40%、次いで、こしょう、マヨネーズ、みそ、ソースとなっていたそうです
ちなみに、日本人がよく使う調味料という観点でも醤油が第1位でした。

食卓上の醤油差しを醤油スプレーにしよう

s_Hypertension7.jpg高血圧を下げる食事のために私がオススメしたいのが、
「食卓に醤油差しを置かないこと。代わりに醤油スプレーを置くこと」
です。

私たち日本人の食卓には、昔から必ずといっていいほど醤油差しが置かれ、味が物足りないときはもちろん、十分に味がついたものでも醤油をかける人も多いのではないでしょうか。醤油差しのデメリットは、たった一つ。
「醤油をかけすぎてしまうこと」です。

そこで、オススメしたいのが醤油をスプレーでかけること。醤油をスプレーすると、少量の醤油が霧状になって食品の表面につくため、食塩摂取量を減らすことができるメリットがあります。
もちろん、メリットはそれだけではありません。

美味しいのに減塩。香りも楽しめて一石三鳥

醤油スプレーを使う最大のメリットは、味が抜群においしくなることです。
そもそも、私たちが塩気を感じるのは、塩分が舌の表面、特に舌先の味蕾(みらい)についたとき。つまり、塩分をたくさんとることではなく、舌先に塩分がいかにつくかが問題なのです。

醤油スプレーは、舌先に触れる食品の表面にごく少量を振りかけられるので、少ない量でも塩気を十分に感じられておいしくなります。

さらに、食品表面についた醤油からいい香りが漂って、嗅覚が刺激されます。
加えて、醤油スプレーは醤油が減っていくさまが目に見えるため、使った量が一目瞭然です。

メリットをおさらいすると、①おいしくなる②香りが楽しめる③使った量がわかる、まさに一石三鳥のいいことづくめ、それが醤油スプレーなのです。
高血圧を下げる食事としてはもちろん、高血圧ではない人もぜひ普段から使うことをおすすめします。

高血圧を下げる食事まとめ

いかがでしたでしょうか。
「醤油のとり方を制するものは、高血圧を制する」……少し言い過ぎかも知れませんが、減塩がいかに大事かをぜひご理解いただきたいと思います。

もちろん、高血圧を下げる食事は醤油スプレーを使うだけが重要ではありません。塩分がたっぷり含まれた加工食品を控えることも重要です。具体的には、ウインナーやカップ麺、スナック菓子などは食塩量が多いため血圧を上げてしまいます。
その点も忘れないでください。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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