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高血圧を下げる食事④米国発【新DASH食】のやり方。塩出し栄養がとれ緩やかな糖質制限にもなる

解説長野市国保大岡診療所 所長・サキベジ推進協議会
内場廉

高血圧を下げるために、薬だけに頼るのはおすすめできません。やはり、食事の改善なしに高血圧を下げるのは不可能に近いといってもいいでしょう。

米国では高血圧を下げる食事法として「新DASH食(ダッシュ食)」がすすめられています。いったいどんな食事法か、専門医の内場廉先生に解説していただきました。

新DASH食の原形【DASH食】とは?

最初に新DASH食の解説のために、その原形であるDASH食について触れておきましょう。まずは名称の由来について。

DASH食=
Dietary Approaches to Stop Hypertensionの頭文字を取ったもの

Hypertension(高血圧)をStop(止める)するDietary Approaches(食事法でのアプローチ)。端的にいうと「高血圧を防ぐ食事法」という意味です。
DASH食が米国で発表されたのは、1987年のこと。DASH食は、総摂取カロリーは標準的な食事とほぼ変わりませんが、脂肪を半分に減らして代わりにたんぱく質と糖質(炭水化物)を多くとるという方法です。

ところが、DASH食をすすめたところ減脂肪・高糖質では高血圧が思ったようには防げずに、肥満などが増えてしまったそうです。そこで、2010年に脂肪の摂取をもとに戻して糖質を減らすという新ルールに基づいた新DASH食が提案されたというわけです。

DASH食で大切なルールは次の3つです。
①減塩(1日6グラム未満)
②カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維をとること
③減糖質
減塩については、最後にある関連記事を参照してください。
以下で、②と③についてくわしく解説しましょう。

体内の塩分を排出する栄養=塩出し栄養をとろう

②の4つの栄養は、簡単にいうと体内の塩分を排出する働きがある、いわば「塩出し栄養」です。
高血圧の人は、①の減塩が不可欠。とはいえ体内に過剰に塩分があると、その影響で血液中の水分量が増えて血圧が上がってしまいます。そこで必要になるのが、塩出し栄養をとることです。
4つの栄養を一つずつ解説しましょう。

●カリウム
カリウムは、体内の余分なナトリウムを細胞の外に押し出し、両者のバランスを維持する働きがあります。それによって、血圧を下げるのに役立つとされています。
カリウムの多い食品=野菜や果物、豆類等に多い。以下は代表的な食品(順不同)
バナナ ほうれん草 干しヒジキ 納豆 モロヘイヤ 銀杏(ぎんなん) にら あゆ 焼き芋 ニンニク/ほか
●カルシウム
カルシウムが不足すると、骨や歯などからカルシウムが溶け出して不足分を補おうとします。すると、血液中のカルシウム濃度が高くなって血管壁が収縮するために血流が悪くなり、その結果、血圧が上がりやすくなります。
カルシウムの多い食品=乳製品や骨ごと食べる魚などに多い。以下は代表的な食品(順不同)
真イワシ ヨーグルト チーズ 干しエビ わかさぎ 大根の葉 バジル モロヘイヤ ひじき 煮干し/ほか
●マグネシウム
骨や歯にカルシウムが届くのを助けたり、カリウムとナトリウムのバランスを調整したりします。カルシウムが血管壁を収縮させるのに対し、マグネシウムは動脈を緩めて血圧を下げるのに役立ちます。
マグネシウムの多い食品=豆類や野菜、海藻に多い。以下は代表的な食品(順不同)
枝豆 アーモンド あさり 納豆 油揚げ わかめ ひじき パセリ きな粉/ほか
●食物繊維
食物繊維は、水に溶けやすい水溶性と水に溶けにくい不溶性があります。その両方とも、体内の余分なナトリウムの排泄を促す可能性が示されているため、血圧を下げるのに役立つとされます。
食物繊維の多い食品=野菜やきのこ類、穀物、豆類に多い。以下は代表的な食品(順不同)
ごぼう ブロッコリー 昆布 おから アボカド パセリ しそ ひじき ニンニク/ほか

糖質のとりすぎも控えられる。でも誰もが「健康のために糖質制限すべき」は違う

ご飯やパン、麺類などの炭水化物に含まれている糖質の摂取を減らす食事法、いわゆる「糖質制限食」は糖尿病の人にすすめられています。
ところが、糖質制限食は高血圧の人にもとても重要な意味を持ちます。なぜなら、糖尿病と高血圧は相関関係があるからです。

仕組みはこうです。
糖尿病や高血糖の人、つまり血液中にブドウ糖が増えた状態が続くと、それを薄めるために血液中に水分が増えます。すると、心臓から血液を送り出すために強い力が必要となって血圧が上昇するというわけです。

また、高血糖の状態は血管を傷つけます。血管が傷つくと動脈硬化(血管の老化)が進んで、こちらも血圧を上げる原因になります。
つまり、糖質を控えることは血圧を下げるのにも役立つというわけです。

ただし、一言つけ加えると、私は最近よくいわれるような「健康のためには糖質制限をすべき」という考えではありません。
なぜなら、日本人は糖質を上手に利用し進化した民族だからです。私は糖質制限について、インスリン分泌能力が著しく低下したなどの場合に、限られた期間だけに選択される食事法と考えています。

新DASH食の実践。食べる順番を変えよう

新DASH食は、特定の栄養素やその比率にはこだわらずに食品の組み合わせを改善することで血圧をコントロールします。
端的にいうと、今よりも体にいい食品を増やして、体に悪い食品を減らすことを目的にします。

私たち日本人の食事でいうなら、野菜をたくさん食べて、肉や魚などのたんぱく質はとりつつ、ご飯も食べつつ、摂取カロリーを適正に近づけることが大切です。
私は、食事の中で食べる順番を変えることで、新DASH食に似た成果を得られるように指導しています。

具体的にいうと、食事のさいに最初に食物繊維の多い食事を食べ、次におかずを食べ、最後に主食を食べるように指導しています。こうすると、自然と新DASH食に近い食べ方になって実際にも高血圧の下がってくる人がおおぜいいます。

高血圧は、病院での治療が不可欠です。そのうえで、患者さん自身が食事の食べ方を工夫することが何より肝心です。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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