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【菌活のススメ】酵母や善玉菌で太りぐせにグッバイ!腸内フローラを整える多彩菌活って?

解説 有効微生物学研究所所長
佐野邦夫

「少ない食事で我慢をして、一生懸命に運動をしているのに思うようにやせない」と、太りグセともいえる体質に悩んでいる人は少なくないでしょう。そんな人の多くは、腸内フローラ(腸内細菌叢)の衰えが原因かもしれません。

有効微生物学研究所の所長、佐野邦夫先生に太りグセに関してのお話を伺いました。

悪玉菌は腸の天敵!腸内に糖や脂肪をため込みやすくする。

腸内細菌には「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類があり、日夜、勢力争いをしています。


◇代表的な善玉菌=ビフィズス菌・乳酸菌
小腸で吸収されなかった糖を発酵させて、乳酸・酢酸・酪酸などの体に有益な物質を作り出します。

◇代表的な悪玉菌=ウェルシュ菌
アンモニアなどの有害物質を作ります。

◇日和見菌とは?
腸内の善玉菌が優勢の場合は善玉菌側に、悪玉菌が優勢の場合は悪玉菌側に味方します。


すなわち、腸内フローラが悪玉菌優勢になると、アンモニアや硫化水素といった毒素が大量に発生します。そして、それらが血管に取り込まれて全身に運ばれ、血液がドロドロに汚れ、細胞に悪影響を与えます。
この影響は高血圧や動脈硬化、肌荒れなどを引き起こすので注意が必要です。
また、善玉菌が減ると、女性ホルモンを合成するビタミン類も少なくなり、女性ホルモンのバランスがくずれてしまいます。

そして、最近の腸の研究では、悪玉菌が優勢になって腸内フローラのバランスが悪くなると、肥満になりやすくなることが明らかになりました。
腸内フローラと肥満との関係は、まだ完全には解明されていません。一番有力な説は、悪玉菌が作り出す毒素が腸の働きを弱めて腸内に糖や脂肪をため込みやすくするため、悪玉菌が増えると太りグセがつくというものです。すると、腸の蠕動運動(内容物を先送りする運動で「ぜんどう」と読みます)も衰えて便秘が起こりやすくなります。
つまり、食事の量を減らしてがむしゃらに運動しても、腸内フローラが衰えていると健康的にやせることが難しいのです。

日本食は腸に良い。多彩な発酵食品で腸内フローラを健全化することが大切。

私は、日本人の腸が危機に瀕していることを、大変危惧しています。食の欧米化により、本来美しかったはずの日本人の腸内フローラが荒廃していることがよく指摘されるからです。
高脂肪食が中心の欧米食に傾くと、食物繊維の摂取が減ったり、動物性脂肪や動物性たんぱくを過剰に摂取してしまったりするため、腸内の悪玉菌が増え腸内フローラが悪化します。
対して、伝統的な日本食なら、腸を活性化する善玉菌をいろいろな食材から自然にとれます。

例えば発酵食。日本の発酵食を作る麹(主に日本酒やしょうゆなど穀物の発酵に用いられるカビの一種)や酵母(主に酒やヌカ漬けなどの発酵に用いられるカビの一種)は、多くの有益な働きをし、善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスをよくすることは、長年の微生物研究からわかっています。
日本古来の発酵食といえば、下記が挙げられます。

・納豆
・みそ
・しょうゆ
・酢
・漬物
・塩麹
・甘酒

こうした各種の発酵食品を積極的にとり、麹や酵母、善玉菌を補うことが、腸内フローラの健全化には必要でしょう。麹や酵母、善玉菌は、多くの種類があり、それぞれの菌が腸内フローラを整える働きをします。毒素を分解し、必要な栄養分を体内に補給し、余分な物や毒素は体外に排出させる働きをするのです。 
 
つまり、麹や酵母、善玉菌を積極的にとれば、食事で過剰にとった脂肪や糖質、たんぱく質を分解して排出を促してくれるので、ダイエット作用が期待できます。さらに、麹や酵母の酵素(体内の化学反応を促す物質)によって消化する力が強まり、余った体内の酵素が代謝に回されれば、エネルギーの燃焼効率がよくなりダイエットにプラスになります。

こうした麹や酵母、善玉菌は、それぞれ分解できる栄養や役割が決まっているので、健康や美容のためには、なるべく多種類の発酵食品を食べる【多彩菌活】が大切になります。
例えば、

・糖質を分解する酵母菌
・脂肪を分解する黒麹菌
・たんぱく質を分解する黄麹菌

というように、それぞれ働く菌が違うのです。

多くの発酵食は取り入れるのも大変。食が細い人は栄養補助食品でも。

食が細くて、いろいろな種類の発酵食をとるのが難しいという人は、麹や酵母、善玉菌を配合した菌活サプリ(栄養補助食品)の助けを借りてもいいでしょう。

このような食品を毎日とってバランスのいい食事をし、適度な運動と十分な睡眠を心がけていれば、1~2ヵ月で美しい腸内フローラが実現できるはずです。そして3ヵ月後には、特別な食事制限をしなくても余分な体脂肪が減り、健康でスリムになることにつながるでしょう。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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