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慢性腎臓病とうどん|塩分・たんぱく質・糖質の含有量が多く腎臓の衰えを促進

解説 横浜創英短期大学名誉教授
則岡孝子

どうしても「うどん」が食べたい。香川県民でなくても、日本人ならそういう日があります。しかし、慢性腎臓病(CKD)の人にとって、うどんは食べるときに注意しなければならない食品の一つです。

うどんと慢性腎臓病の関係について、横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子先生にくわしくご解説いただきます。

慢性腎臓病の疑いがある方は、腎臓内科、内科、泌尿器科などで診てもらうことが大切です。おそらく、専門医から食事の指導があるかと思いますが、その指導を守りつつ記事も参考にしてみてください。

隠れ塩分に要注意

減塩が腎機能の維持に役立つことは、みなさんご存じだと思います。料理によく使う醤油や味噌、塩などの調味料の塩分量を控えるのをはじめ、漬物や煮物など比較的塩分量の多い食品の摂取にも注意するようになるはずです。

しかし、塩分量を意外と見落としがちになるのが「加工品」。パンやハム、ソーセージ、そしてうどんです。どの加工品も作る過程で塩が使われており、含有量がわかりづらいものが多くあります。中でも、うどんは乾麺で100グラム当たり約4.3グラムも含まれているうえに、食べるときに汁の塩分も加わります。例えば、外食のさいのかけうどんは、汁まで飲みほすと、およそ5グラムの塩分を摂取するそうです。

加工品を購入するさいは、商品パッケージに記載されている成分表示で必ず塩分量(ナトリウム量)をチェックするようにしましょう。ナトリウム含有量の場合は、食塩相当量を割り出す計算式を活用してください。

摂取制限のある人は要確認!たんぱく質の意外な含有量

慢性腎臓病が進行すると、たんぱく質の摂取量を制限しなければならないケースがあります。肉・魚・乳製品などのたんぱく質の含有量が多いのは想像できると思いますが、うどんに含まれるたんぱく質の量も意外と多いので注意が必要です。ただし、たんぱく質の摂取制限は難しいため、担当医の診断のもと行うようにしましょう。

では、うどんに含まれる可食部100グラム当たりのたんぱく質の含有量を確認しましょう(※文部科学省・日本食品標準成分表2015年版調べ)。

・うどん(生)→6.1グラム
・うどん(生・ゆで)→2.6グラム
・うどん(乾)→8.5グラム
・うどん(乾・ゆで)→3.1グラム

慢性腎臓病患者のたんぱく質の摂取制限について
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013(日本腎臓学会)」では、画一的な指導は不適切であり、個々の患者の病態やリスク、アドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)などを総合的に判断して、たんぱく質制限を指導するように推奨しています。担当医の先生にしっかりと確認して行いましょう。

うどんは炭水化物。糖質の塊

糖尿病の合併症として糖尿病腎症があるように、糖尿病は腎機能の低下を引き起こし、慢性腎臓病を悪化させる原因となります。高血糖と腎臓病のくわしい関係性については、関連記事よりご覧ください。

うどんは炭水化物なので、糖質量は多いです。ですから、できる限り摂取を控えるのが最善です。ただし、どうしてもうどんを食べたい場合は、血糖値の上昇を緩やかにする「食べる順番」を守るようにしましょう。最初にサラダや酢の物などの食物繊維の多い副菜を食べ、それから肉や魚などの主菜、最後にうどんなどの主食を食べるようにするのです。糖質を取る場合は、血糖値をうまくコントロールできる食事法を選ぶことが肝心です。

今では、一部糖質カットや塩分カット(糖質40%オフのうどん・食塩ゼロのうどん、など)のうどんも販売されていますし、うどんの代替食品などもたくさん出ています。糖質や塩分を極力気にせずにうどんを食べたい人は、こうした食品を利用するのも手かもしれません。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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