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慢性腎臓病と果物|バナナ・キウイはカリウムが多くステージG3〜4の人は危険

解説横浜創英短期大学名誉教授
則岡孝子

慢性腎臓病(CKD)の進行とともに、カリウムを排出する機能も低下します。特に、慢性腎臓病のステージがG3〜4以上の人は要注意です。
果物の中でも、カリウム含有量の多いものについて、横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子先生にくわしくご解説いただきます。

慢性腎臓病(CKD)の方は、医師の治療を受けて、食事についても指導されているのではないでしょうか。この記事も参考にしてみてください。

高カリウム血症ならカリウム量の制限が必須

カリウムはミネラルの一種で、果物や野菜、豆類といったものに多く含まれます。本来、カリウムには、血圧が高くなるのを抑えたり、体内環境を整えたりする働きがあります。

しかし、慢性腎臓病のステージG3〜4まで腎機能が悪化してカリウムの排出が滞ると、血液中のカリウム濃度が高くなります。この状態を「高カリウム血症」といい、放置して悪化すると、不整脈による突然死の危険性も出てくるのです。ちなみに、高カリウム血症かどうかは、血液検査の結果でしかわかりません。症状がなくても、数値が高いことがあるので、定期的な検査が必要になります。

高カリウム血症
高カリウム血症かどうかは、血液診断の血清カリウム値により判定します。日本腎臓学会による「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」によると、CKDにおける血清カリウム値として、4.0〜5.4(mEq/L)の範囲内で管理することが推奨されています。つまり、一般的に5.5以上はカリウムの血中濃度が高い高カリウム血症といえます。
また、7.0以上を超えると、不整脈などを引き起こしやすくなるという専門家の意見もあります。

バナナ・キウイ・メロン・アボカドはカリウム量が多い

果物の中で特にカリウムの含有量が多いのが、バナナ・キウイ・メロン・アボカドなどです。果物の可食部100グラム当たりのカリウム含有量を確認してみましょう(※文部科学省・日本食品標準成分表2015年版調べ)。また、1食のさいの純粋な目安量(皮などの廃棄する部分は含まない)も合わせて確認してください。

【カリウム量の多い果物】
・バナナ→360ミリグラム(1本150グラム→324ミリグラム)
・キウイ→290ミリグラム(1食100グラム→247ミリグラム)
・メロン→340ミリグラム(1食160グラム→272ミリグラム)
・アボカド→720ミリグラム(1個200グラム→1008ミリグラム)
・干しぶどう→740ミリグラム(20粒10グラム→74ミリグラム)
・干し柿→670ミリグラム(1個70グラム→429ミリグラム)
・プルーン(乾)→480ミリグラム(5粒40グラム→192ミリグラム)

【その他のよく食べる果物】
・リンゴ→110ミリグラム(1個300グラム→281ミリグラム)
・柑橘類(みかん)→150ミリグラム(1個100グラム→120ミリグラム)
・ブドウ→130ミリグラム(1房150グラム→166ミリグラム)
・パイナップル→150ミリグラム(1/4個180ミリグラム→149ミリグラム)
・桃→180ミリグラム(1個300グラム→459ミリグラム)

高カリウム血症の人は、果物選びにも気をつける必要があります。カリウム含有量を確認して、量の少ない果物を選ぶようにしましょう。

カリウム含有量の多い野菜

果物に加えて、野菜の中でカリウムの含有量が多いものも紹介しておきます(※文部科学省・日本食品標準成分表2015年版調べ)

【カリウム量の多い野菜】
・ほうれん草→690ミリグラム
・小松菜→500ミリグラム
・カボチャ→400〜450ミリグラム
・ブロッコリー→360ミリグラム
・レンコン→440ミリグラム

【その他のよく食べる野菜】
・トマト→210ミリグラム
・キャベツ→200ミリグラム
・白菜→220ミリグラム
・大根(皮むき)→230ミリグラム
・レタス→200ミリグラム
・ニンジン(皮むき)→280ミリグラム
・ピーマン(青)→190ミリグラム
・玉ねぎ→150ミリグラム

ちなみに、野菜は調理の一工夫でカリウム量を減らすことができます。

カリウム減の調理の工夫❶水にさらす

s_野菜 水にさらす.jpgもっとも簡単な方法は、野菜を水にさらすこと。カリウムは水に溶けやすいので、千切りなどにして水にさらすだけで、カリウムの量を減らすことができます。

カリウム減の調理の工夫❷ゆでる

s_野菜 ゆでる.jpg野菜の種類でできるできないがありますが、最もおすすめの方法が、野菜をゆでること。細かく切ってゆでても、カリウムの量は確実に減ります。ただし、カリウムが溶け出したゆで汁は使わないようにしましょう。

カリウム減の調理の工夫❸しぼる

水にさらしたり、ゆでたりした後に、よくしぼって水気をとることも重要になります。カリウムを含んだ水分をしっかりと切ることで、確実に量を減らすことができます。

ちなみに、ゆでるだけでも、以下のようにカリウム量が減ります。もちろん、ゆでたお湯は調理に使わないでください。
・ほうれん草…690ミリグラム→490ミリグラム(↓200ミリグラム低下
・小松菜…500ミリグラム→140ミリグラム(↓360ミリグラム低下
・ブロッコリー…360ミリグラム→180ミリグラム(↓180ミリグラム低下
・レンコン…440ミリグラム→240ミリグラム(↓200ミリグラム低下

生活習慣を少し変えるだけで、カリウムの摂取量はガクッと減らすことができます。まずは、日常でよく使う食品のカリウム量を把握することから始めてみましょう。

減塩食品に要注意!カリウム過多の場合がある

慢性腎臓病の人の食生活で重要になる「減塩」。確かに重要ですが、減塩食品の中でも、みそや醤油などの減塩調味料には、ナトリウムを使う代わりに塩化カリウムで辛みを出しているものが多く見受けられます。

知らずに使ってしまうとカリウムの過剰摂取に陥り、高カリウム血症を起こして、不整脈になることも。くれぐれも食品のパッケージに、塩化カリウムが不使用であることを確認しておくようにしましょう。

最後に、必ず医師の治療方針を守って慢性腎臓病の進行予防や改善に努めてください。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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