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慢性腎臓病とニンニク|強力な抗酸化作用と減塩により腎臓の働きを助ける

解説 横浜創英短期大学名誉教授
則岡孝子

疲労改善作用に関する記述が古代エジプトの記録に残り、現代でも驚異的な健康パワーが続々発見されている食品、それが「ニンニク」です。

慢性腎臓病(CKD)の人にとって、いい働きをするのでしょうか?それとも、あまりよくない働きをするのでしょうか。はたまた、無害の可能性もあります。横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子先生にくわしくご解説いただきました。

もちろん、慢性腎臓病(CKD)の方は、腎臓病専門医の治療を受けることが重要であることを忘れないでください。また、医師から食事の指導もあるかと思います。自己判断せず、医師にも相談してみてください。

抗酸化作用により、腎臓にかかる負荷を抑える

ニンニクの成分である「アリイン」が極めて重要な働きをします。ニンニクの中に含まれる酵素によってアリインが分解されると、S-アリルシステインという成分に変化します。この成分は、強力な抗酸化作用を備えています。

抗酸化作用とは、体を攻撃する力の強い活性酸素を消去する働きのこと。本来、活性酸素は、体内に侵入した細菌などの異物や初期のガン細胞を退治する重要な役割を担っています。

ところが、活性酸素が体内に過剰に増えると自身の体まで攻撃し、細胞の衰えを加速させるのです。また、活性酸素は悪玉コレステロールと結びついて酸化し、それが血管内に付着するとさまざま血管疾患を引き起こす要因になります。

S-アリルシステインには、悪玉コレステロールの酸化を防いで、動脈硬化を予防する働きがあるのです。これが結果的に、腎臓への負荷を和らげることにつながるのです。

ニンニクを下味に使うと、自然に減塩できる

塩分のとりすぎは、腎臓に負担をかけるだけではなく高血圧を招いて腎臓の血管を傷める原因にもなるので注意が必要です。腎機能を守るためには、1日当たりの塩分摂取量を3〜6グラムにするのが適切です。

「千里の道も一歩から」といいますが、塩分摂取量を控えるのも同様で、味付けに塩を使っていた人はニンニクなどの香味野菜を下味として使うと、塩分量を無理なく減らすことができます。ニンニクの他にも、香味野菜には「しそ」「生姜(ショウガ)」「茗荷(ミョウガ)」「長ネギ」「ミツバ」などがあります。ニンニクに加えて、こうした野菜をうまく使って、減塩生活を習慣にしましょう。
ただし、食べすぎないようにしてください。適度な量が基本です。

ニンニクに含まれる他の役立つ成分

古代エジプトのピラミッド建設では、労働者の疲労改善に支給されたと記録が残るニンニクですが、その作用を持つ成分と考えられるのが、ビタミンB1と前述したアリインです。
イオウ化合物のアリインは、潰したり切ったりすると、におい成分のアリシンに変化し、ビタミンB1と結合することで、アリチアミンという物質に変わり、疲労改善や滋養強壮に役立つことがわかっています。

近年の研究では、アリチアミンが男性ホルモン(テストステロン)の分泌を増やして、男性の更年期障害の症状である不眠・イライラ・性欲減退・筋力低下の改善に役立つこともわかっています。

また、ニンニクに含まれる成分で話題になっているのが、「ジアリルトリスルフェド」と「アホエン」です。米国国立ガン研究所が、抗ガン作用のある食品をランク付けしたさいに、トップに挙げられたのがニンニクで、その作用を持つ成分と考えられるのが、低温加熱によってアリインが変化した、ジアリルトリスルフェドとアホエンです。

どちらの成分もガン細胞の増殖を抑える働きが動物実験で認められており、実際にニンニクを週に1回以上食べる人は、全く食べない人に比べて、大腸ガンや食道ガン、胃ガンなどの発症リスクが低くなる可能性があるという調査結果もあります。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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