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IgA腎症(慢性糸球体腎炎)とは?不治の病?透析の重大原因になる?

解説堀田修クリニック院長
堀田修

慢性腎臓病(CKD)が悪化して腎不全になると、透析治療が必要になります。透析治療に至る原因の第一位は「糖尿病腎症」ですが、それに次ぐ原因の代表格として挙げられるのが、「IgA(アイジーエー)腎症」です。

原因や症状、患者数などについて、堀田修クリニック院長の堀田修先生にくわしく話をお聞きしました。

IgA腎症とは?慢性糸球体腎炎の約5割を占める

腎臓は血液をろ過して、体に不要な物質を尿として体外に排出しています。この血液をろ過して尿を作る大切な役割を担っているのが、腎臓にある糸球体です。そして、糸球体が炎症を起こし、ろ過が正常にできなくなった状態が慢性的に続く病気を、慢性糸球体腎炎といいます。

IgA腎症は慢性糸球体腎炎の一種で、糸球体内の毛細血管に、抗体(免疫反応を起こす物質)の一つの免疫グロブリンA(IgA)が沈着し、炎症を起こす病気です。アジア人に特に多く、日本でも慢性腎炎のうち約50%を占める、最も頻度の高い病気になります。

「IgA=免疫グロブリンA」とは
腸の粘膜を病原体の感染から守っている免疫物質。

IgA腎症が起こるしくみ

IgA腎症は、咽頭炎などの呼吸器系の病気のあとに発症することが多く、長い経過で進行し、発症から30年で約半数の人が慢性腎不全になり、透析治療の対象になるとされています。

IgA腎症が起こるしくみを解説します。
私たちの体の中で、「扁桃(へんとう|咽頭の粘膜下にあるリンパ小節の集合体)」「上咽頭(じょういんとう|咽頭の上部で、鼻腔の後方部分)」は、人間の免疫機構の最前線です。

上咽頭と扁桃の位置

s_上咽頭と扁桃.jpgここにウイルスや細菌などが付着すると、体から外敵から防御するための免疫システムが働きます。この免疫システムの主役が、白血球に含まれる顆粒球やマクロファージ、リンパ球などの免疫細胞です。

扁桃や上咽頭が、細菌やウイルスなどによって刺激を受けると、各種の免疫細胞が激しく反応して、外敵と戦います。これが、扁桃炎や上咽頭炎です。

扁桃や上咽頭に慢性的な炎症が続くと、一部の免疫細胞は血液に乗って全身に移動します。その免疫細胞が作った抗体の一つであるIgAが、腎臓の糸球体に沈着して炎症を起こし、二次疾患としてIgA腎症が発症します。

IgA腎症で起こる症状|血尿やたんぱく尿、めまい

IgA腎症になると、腎機能が徐々に低下して、赤血球やたんぱく質が尿に漏れ出てしまいます。最初は血尿が出て、進行すると、必ず尿たんぱくが認められるようになります。

初期段階では無症状なので、健康診断など以外での発見は困難ですが、その他の主な症状として、めまいや肩こり、高血圧などが考えられます。

IgA腎症は不治の病?診断法や治療法は?

IgA腎症は、一般的に「蛍光抗体法」という方法で診断がつきます。蛍光抗体法は、腎性検によって免疫グロブリンの一つであるIgAが糸球体のメサンギウムという部位に沈着しているかで判断します。

実は、IgA腎症は1970年代頃までは、患者の経過観察の期間があまりに短く、治療不要とされていました。それが、1980年代に入り、症例数の増加と患者の経過観察期間が長くなるにつれて、腎不全にまで進行する例が少なくないことがわかり、一転「不治の病」として認識されるようになったのです。さらに、長期になればなるほど腎不全に進行する割合が増加することも明らかになりました。

そして現在では、IgA腎症の治療がまた一転し、治療次第では大幅な症状の改善が望めるようになり、早期発見なら寛解も可能になってきています。

その治療法の核となるのが、「扁滴パルス療法(扁桃摘出・ステロイドパルス療法)」「上咽頭擦過治療 (Epipharygeal abrasive therapy=EAT」です。

この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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