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【糖尿病腎症の食事対策】腎臓を傷める血糖値の急上昇「血糖スパイク」を防げ

解説AGE牧田クリニック院長
牧田善二

テレビ番組や雑誌などで糖尿病を特集するさい、最近よく耳にするのが「血糖スパイク」というキーワード。血糖?スパイク(日本語で釘)?どんな繋がりでできた言葉なのでしょうか。

さらに、この血糖スパイクは慢性腎臓病(CKD)につながる糖尿病腎症の発症にも深く関係しているとされます。AGE牧田クリニック院長の牧田善二先生に話をお聞きしました。

糖尿病腎症の原因「血糖スパイク」とは

血液中にダブついた糖により、腎臓に約100万個ある「糸球体」のフィルターが傷つけられ、ザルの目のように粗くなり、アルブミンというたんぱく質が尿中に漏れ出てしまう病気。それが、糖尿病腎症です。人工透析に至る最大原因でもあります。

糖尿病が原因になるので、対策としては血糖値を低くコントロールすることが重要になります。ただし、糖尿病腎症の場合は、ただ血糖値を低く抑えるだけではなく、血糖スパイクに注意する必要があります。

血糖スパイクは、2型糖尿病の前段階とまでいわれる現象で、発病する直前や発病した直後の人に多く見られます。血糖スパイクの「スパイク」とは、血糖値をグラフにしたときに、急上昇と急降下でスパイク(釘)のような形になることから、その名がつけられました。

人間が食事をした直後は、血糖値が一時的に上昇し、食後の2〜3時間で戻ることが知られています。このとき、血糖値が140ミリグラムを超えて急上昇し、その2〜3時間後に元の数値まで急降下する現象が頻繁に起こる現象が、血糖スパイクになります。血糖スパイクがやっかいなのは、その発見が難しい点。空腹時血糖値は正常の範囲内でも、血糖スパイクに陥っている人は多いのです。

血糖スパイクの診断方法

自分に血糖スパイクが起こっているのかどうかは、経口ブドウ糖負荷試験という専門の医療機関で受けられる試験などによって知ることができます。

糖尿病診療ガイドライン2016では、糖質を150グラム以上含む食事を3日以上摂取した後、10〜14時間以上の絶食後、朝食前に75グラムのブドウ糖を含む溶液(250〜350ミリリットル)を服用させて、空腹時(服用前)・負荷後(服用後)30〜60分おきに採血して血糖値を測定するのを試験の基本としています。空腹時と2時間値の測定は必須で、臨床の場では途中時点での血糖値も調べるのが望ましいとされています。
さらに、可能であれば空腹時と30分後のインスリン値を測定して、初期インスリン反応を調べるのが理想的とされています。

現在では、多くの内科医院で実施されているので、まずはかかりつけ医師に相談してみてください。

【血糖スパイク予防】最初に野菜!食べる順番が最重要

血糖スパイクを抑える対策は、食事のとり方が中心になります。特に大切なのが「食べる順番」です。

s_Fotolia_123463075_Subscription_Monthly_M.jpg血糖値の急上昇を抑えるには、野菜・キノコ・海藻類などの食物繊維が豊富な食品をとる必要があります。消化吸収がしづらい食物繊維を先に食べれば、糖をはじめとしたほかの成分の吸収もゆっくり行われます。「ベジタブルファースト」といわれるこの食事法では、1日当たり350グラム分の野菜・キノコ・海藻類を3食に分けて、毎食の最初に5分ほどかけてゆっくりと食べるようにしましょう。

ベジタブルファーストを勧めるのにはもちろん理由があります。それが、2010年に日本糖尿病学会学術評議員の梶山夫先生らが行った試験。この試験では、野菜を最初に食べるようにしただけで食後血糖値の上昇を抑えられたという結果が認められたのです。

食べる順番で血糖値が変動

s_グラフ.jpg試験は、2型糖尿病の患者さん15人をランダムに2グループに分けて行いました。A群には、1回めの試験でご飯を食べてから野菜サラダを食べてもらい血糖値を測りました。そして4週間後の2回めの試験では、その逆の順番で食べてもらい、もう一度血糖値を測ったのです。反対に、比較対象としてB群には1回めの試験で野菜サラダ、ご飯の順番で、4週間後の2回めの試験ではその逆の順番で食べてもらい、同様に血糖値を測りました。

その結果、どちらのグループでも野菜を先に食べたほうが食後の血糖値の平均が低く、食後30分では45ミリグラムの差が出ました。そのほか、食後血糖値を抑えるには、ゆっくりとかんで食べることで糖の吸収をゆるやかにしたり、食後すぐの軽い運動で余分な糖を消費したりすることも役に立ちます。

また、血糖値をダイレクトに上げる白米やジャガイモ、白パンなどの高糖質食をさけて、玄米や豆類、全粒粉のパンなどに替えることも大切です。

記事にあるセルフケアは安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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