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【もち麦ご飯ダイエット】もち麦とは?大麦との違いや栄養価、期待できる作用を専門家が解説

解説 横浜創英短期大学名誉教授
則岡孝子

「もち麦ご飯ダイエット」のブームが続いています。
最近、ご飯など、糖質を控えるダイエットが人気になっていますが、日本人ゆえライスを控えるというのはなかなか難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。

その点、もち麦は「米」を食べながらダイエットができます。
テレビのダイエット番組や雑誌でも取り上げられ、もち麦が品薄状態になるスーパーマーケットもあるようです。

もち麦は、その栄養価もすばらしいのですが、「おいしさ」、「食感」も大きな特徴です。
味のよさにくわえ、モチモチの食感が病みつきになる人がたくさんいるようです。

もち麦ってなに?どんな働き?食べ方は?……食品についてくわしい、横浜創英短期大学名誉教授の則岡孝子先生に話をお聞きしました。



米や麦にはうるち性ともち性がある。もち性の麦=もち麦

もち麦ご飯ダイエットが人気とはいえ、「もち麦とは?」と、くわしく知らない人もいると思いますので、簡単に説明します。

もち麦は、イネ科の穀物である大麦の一種です。麦ごはんに使用する押し麦なら知っているという人も多いでしょう。どちらも同じ大麦ですが性質は違います。

お米の例で説明します。
米は、性質の違いで「うるち性」と「もち性」の2種に分けられるのをご存じでしょうか。
私たちがふだん食べているご飯はうるち性の米(うるち米)で、餅の原料になっているのはもち性の米(もち米)です。
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大麦にもこれと同じ違いがあります。うるち性でよく知られているのは「押し麦(写真左)」です。
これに対してもち性の性質を持つ種が「もち麦(写真右)」なのです。

大麦はミネラルやビタミンなどの栄養素を多く含み、特に食物繊維の含有量が非常に多いことで知られています。
その含有量は、精白米の約17倍、玄米の約3倍といわれています。そのため、大麦や麦ごはんは以前から健康食として注目されてきました。

s_もち麦グラフ.jpgところが、もち麦は食物繊維の量がとても多くて精白米の19倍にも達するとされ、押し麦以上の健康作用が期待できるスーパーフードとして注目を浴びるようになったのです。

また、もち麦の食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維が多いことが特徴です。
水溶性食物繊維は、食べるとおなかの中でゲル(ジェル)状になって食べた食物を包み込み、消化・吸収を穏やかにするとされます。また、腸内環境を整える働きもあります。

水溶性食物繊維は、健康増進に役立つと注目されていますが、中でも最も関心を集めているのが「β-グルカン」という粘りけの強い成分です。

もち麦に多く含まれるβ-グルカンの主な働きは次のようなものです。
糖質の吸収を遅らせて血糖値の上昇を抑える
脂肪の吸収を抑えて内臓脂肪を減らす
血中コレステロールを減少させる
善玉菌のエサ(栄養)になり、腸内フローラを整える
整腸作用により便秘などが改善する

これらの働きについて、少しくわしく説明します。

食後血糖値が低く抑えられていた

β—グルカンは、食べたものを胃から小腸へとゆっくりと移動させて消化吸収のスピードを抑えると考えられます。
そのため、余分な糖質の吸収を防ぎ、食後血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)の急激な上昇を抑える働きがあるのではないかと期待されているのです。

福原医院院長で医師の福原育夫先生は、健康情報誌『夢21』で大手製薬メーカーと共同で行った試験の結果を報告しています。

試験に参加したのは、空腹時血糖値が正常な男女18人(20~50歳、男性8人・女性10人)です。
参加者に2グループに分かれてもらい、朝食(10時ころ)に、一方にはもち麦ご飯を、もう一方には白米を150㌘ずつ食べてもらったそうです。

くわしい説明は省きますが、結論からいうと、もち麦ご飯を食べたグループは朝食後の血糖値の変動が白米を食べたグループと比べて明らかに低くなっていたと報告されています。

また、昼食ではもち麦ご飯は食べてはいないものの、朝食でもち麦ご飯を食べたグループのほうが食後血糖値が低く抑えらました。
昼食は同じものを食べていたということですので、朝食にもち麦を食べたことが影響しているのではないかと考えられるのではないでしょうか。

内臓脂肪が減らす働きも?おなか太りの改善に役立つかも

もう一つ、もち麦で注目すべきは今話題の「腸活」の働きです。

もち麦は腸内フローラという細菌叢を整えてダイエット作用を発揮すると考えられます。
腸内細菌には善玉菌と悪玉菌があることが知られています。善玉菌には脂肪を減らす働きがあるとされ、ダイエットには欠かせない考えられるようになってきました。

s_もち麦5.jpgもち麦のβ—グルカンですが、腸内フローラを善玉菌優勢にする働きが期待できるのです。
実際に、大麦(もち麦は大麦の一種)をとる試験では、おなか太りの元凶である内臓脂肪を減らす働きがあったと海外の試験では報告もされているそうです。

3割炊きから始め、慣れたら5割炊きも。冷凍保存が手軽

ほかにも、悪玉コレステロールを減らしたり便秘を改善したりする働きも期待されています。

論より証拠。
実際に、全国から患者が集まる便秘外来でも、通常の治療に加えてもち麦ご飯をすすめています。その結果、患者さんから「週1回の排便が週3回になった」などの喜びの声も聞かれたといいます。

もちろん、もち麦ご飯ダイエットでやせた人もいます。
ご飯抜きではダイエットが長続きしない方、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

もち麦の食べ方ですが、白米に混ぜて炊いて食べるのがおすすめです。
まずは3割炊きから始めて、慣れたら5割炊きを試してみてください。
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食感がもちもちしていてとてもおいしいので、一度食べるともち麦なしではご飯を食べたくないという人も多いほど。
ぜひ、この夏のダイエット食として試してみてはいかがでしょうか。

もちろん、もち麦ご飯さえ食べていればやせるわけではありません。あくまでもバランスのいい食事とともに、ダイエットの一助に活用してみてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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