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副鼻腔炎(蓄膿症)の対策①鼻水・鼻づまりも後鼻漏も頭痛も防ぐ「ほお骨プッシュ」

解説カラダネ編集部

季節の変わりめになると副鼻腔炎(ふくびくうえん)で悩む人が増えるといわれます。
以前の呼び名である蓄膿症(ちくのう症)といった方が、ピンとくる人も多いのではないでしょうか。
実は副鼻腔炎も蓄膿症も、全く同じものです。

鼻をかんでもかんでも鼻水が止まらない、鼻水が黄色い、鼻づまりがひどい、いやなにおいがする……多くの症状に悩まされて毎日がつらいという方も多いのではないでしょうか。

副鼻腔炎をはじめとする鼻の病気や不調の改善には、やはり耳鼻咽喉科などの専門医を受診して早めに診断・治療を受けることが何より肝心です。

そしてそのうえで、何か私たちができるセルフケアはないのでしょうか。
耳鼻咽喉科の北西剛先生をはじめ専門家に話を聞いたところ、ぜひみなさんに試していただきたい方法が見つかりました。
その名も「ほお骨プッシュ」。
いったいどのようなやり方なのでしょうか。

副鼻腔炎の放置が中耳炎や扁桃炎、腎臓疾患の発症に関係する場合もある

副鼻腔炎の悩みは深刻です。耳鼻咽喉科の北西剛先生のところにも、毎日おおぜいの患者さんが訪れるそうです。

「副鼻腔炎が慢性化した場合、鼻水や鼻づまりに加えて多くの患者さんが、大量の鼻水や分泌物がのどのほうに流れる後鼻漏(こうびろう)を訴えます(くわしくは「【専門医解説】副鼻腔炎って何?蓄膿症との違い、好酸球性とは?原因・治し方がわかる鼻診断チャートつき」へ)。
ほかにも、鼻の奥からのどにかけての異物感、自分の鼻の中でのいやなにおい、味やにおいのわかりにくさ、頭重、頭痛も現れます」(北西先生)

s_後鼻漏とは.jpg

とはいえ、北西先生は副鼻腔炎で医療機関をきちんと受診している人は実は少ないのではないかと指摘します。

中には、症状が軽いためにたかが鼻水・鼻づまりと思っている人も多いというのです。また、花粉症と自己診断されている人も多く見かけます。放置しているとほかの病気を招く可能性があり軽視は禁物です。

「慢性副鼻腔炎は耳の病気である中耳炎、のどの病気である扁桃炎(へんとう炎)や歯周病に関連したり、気管支炎・肺炎の原因になったりする場合があります。

また、病巣感染症(ある臓器の炎症が別の臓器に病気を引き起こす)を招く原因の一つに慢性副鼻腔炎があります。例えば腎臓疾患などの原因になることもあり要注意です」(北西先生)

ヨガと東洋医学をミックス!鼻の症状を防ぐ、その名も「鼻ヨガ」

そこで副鼻腔炎の人が病院での受診に加えて、症状を少しでも改善させるために自分でできることはないのでしょうか。

探したところ、ぜひみなさんに試してもらいたいセルフケアが見つかりました。
鼻ヨガの一種である「ほお骨プッシュ」です。

ほお骨プッシュをやると、その場で鼻水が止まって鼻がスーッと通ったと驚く人が多く、副鼻腔炎など鼻の症状で悩む人にとても好評なのだそうです。
ところで、鼻ヨガという言葉を初めて聞いた人も多いのではないでしょうか。

考案した山本ヨガ研究所の山本正子先生に話を聞きました。
「私は、日本ヨガの創始者ともいえる沖正弘先生の直弟子としてヨガを学び、さらに香港で東洋医学を習得しました。そして、ヨガと東洋医学をミックスした健康法を40以上の教室で指導しています。

ヨガでは呼吸を重要視しますが、教室の生徒さんの中には、鼻づまりのため鼻で呼吸がしにくいと悩みを訴える人がおおぜいいたのです。また、生徒さんから家族の鼻づまりや副鼻腔炎をヨガで改善する方法について質問を受けることもよくありました。

そこで、私がヨガの動きの中から、鼻づまりや副鼻腔炎に効く動きを指導したところ、症状が改善したと大変好評でした。こうした経験をもとに、鼻トラブルの悩みを抱える人のためにヨガの動きを集めて作り上げたのが『鼻ヨガ』です」

そして、鼻ヨガの中でも即効性があり、誰でも自宅で簡単に行うことができる動きがほお骨プッシュだといいます。
耳鼻科専門医の北西先生も、鼻づまりなど副鼻腔炎の症状のある患者さんに、ほお骨プッシュをすすめています。

「ほお骨プッシュを行えば、鼻づまりを解消するツボの刺激と、顔の骨のゆがみを正す効果が得られるのではないでしょうか。これによって、鼻づまりが改善します。
鼻の通りがよくなると、鼻呼吸をスムーズに行えるようになり、鼻の中の繊毛輸送機能(鼻の中の細菌や異物を排出する防御反応)が活発になって副鼻腔炎の改善につながるのです。

セルフケアで大切なのは、安全に、誰でも、どこでもできることだと私は考えます。ほお骨プッシュは、素手で簡単にできて副作用の心配もなく継続的に行えるのがメリットでしょう。

病院で正しい診断や治療を受けることを前提に、ほお骨プッシュなどを行うことはとても有効だと思います」(北西先生)

このように、ほお骨プッシュは専門医も認める副鼻腔炎のセルフケアなのです。

ほお骨プッシュは副鼻腔炎の人に多い「下がりほお骨」を正すのに役立つ

ところで、ほお骨プッシュはなぜ、副鼻腔炎のセルフケアとしてすすめられるのでしょうか。北西先生に話を聞きました。

「私が山本ヨガ研究所の山本正子先生とお会いしたのが2年前のこと。
山本先生から『ほお骨プッシュ』の指導を受けた私は、顔の骨のゆがみが副鼻腔炎を招き、症状を長引かせる原因の一つに違いないと思ったのです。

そもそも、頭や顔はたった一つの骨でできているわけではありません。頭部に8個、顔に14個、耳に6個の骨があり、それらが精密に組み合わさっているのです。
これだけの数の骨が集まり、複雑につながっているのですから、顔の骨がゆがめば、鼻に悪影響が及ぶことは十分に考えられるでしょう。

顔の骨の中でも、特にゆがみの影響を受けやすいのは「蝶形骨(ちょうけいこつ)」です」

s_蝶形骨とは.jpg

「蝶形骨は、鼻と脳の境目にある骨で、その名のとおりチョウのような左右対称の形をしており、副鼻腔の一つである蝶形骨洞を形成しています。
これは、左右対称の形をしているため、蝶形骨がずれると左右差が生じて空気の通りが悪くなるのです。鼻腔と副鼻腔をつなぐ自然口が狭くなることもあります。

そうなると、副鼻腔内の老廃物をうまく排出できなくなり、副鼻腔炎を長引かせる原因の一つになるといえるのではないでしょうか。

さらに、副鼻腔炎の人には、ほお骨が下にずれる「下がりほお骨」になっている人がおおぜいいます。下がりほお骨になると副鼻腔炎を発症したさいに排泄力が低下し、副鼻腔内に膿がたまってしまうのです。

その点、ほお骨プッシュで下にずれたほお骨を押し上げて正常の位置に戻すと、副鼻腔にたまった膿が排泄されやすくなるので症状の改善に役立つと考えられます。

足首のゆがみから連鎖的に骨がゆがんで、副鼻腔炎が重症化

山本先生の考案したほお骨プッシュは、実は3種類の動きからなります。『足首回し』『仙骨回し』を行い、最後に『ほお骨引き上げ』を行います。

山本先生は3種の動きについて次のように話します。
「なぜ、足首や仙骨を回すのか疑問に感じる人もいるでしょう。というのも、蝶形骨に影響を与えるものの一つに骨盤の仙骨があるからです。
仙骨は骨盤の中心にあり、背骨の土台となる部分。

ここがゆがむと、連動して首の部分の背骨である頸椎もゆがんで、結果的には顔の蝶形骨に左右差が生じることになるのです」
s_仙骨とは.jpg

山本先生は話を続けます。
「仙骨のゆがみは、もとをたどれば足首の動きの悪さによって起こると私は考えています。
足首の動きが柔軟でなければ地面から受ける衝撃が強く伝わり、上半身のバランスがくずれて仙骨のゆがみを招くことになりかねません。

つまり、足首→仙骨→頸椎→蝶形骨と体の下から上へと連鎖的に骨のゆがみが起こり、その悪影響が副鼻腔炎の重症化をもたらす可能性があるというわけです」

まずは、ほお骨引き上げを試してみよう。すぐに膿が流れ出すという人も!?

さて、実際にほお骨プッシュのやり方ですが、このカラダネの記事の中では3種の動きの中でも最も簡単にできる「ほお骨引き上げ」を紹介します(ほかの2種の動きについては健康情報誌『夢21』2017年4月号をぜひ参考にしてください)。

●ほお骨引き上げの
やり方(鼻づまりしている方だけ行う)
まず、左右どちらの鼻がつまっているかを正確に知ることが肝心です。
指で片鼻ずつ抑えて息を鼻から吸い込み、つまっているほうを確認します。
s_ほお骨引き上げ押す位置.jpg
❶上の写真の●がついた部分。小鼻(鼻の膨らんだところ)の上端のへこんだところで、そのやや外側に右鼻なら右手、左鼻なら左手の人さし指の腹を当てる。
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❷強い力で押し上げて、次にほお骨を外側に向かって2秒間押し広げる。これを3回くり返す。

アザができるほど力を込めるのはNG。とはいえ、下がりほお骨の人は鼻腔とほお骨の間が狭くなっているので、それを物理的に指で広げるイメージで行ってください。なお、爪を切っておくことも大切です。

もちろん、ほお骨引き上げで誰もがよくなることはありませんが、まずは試してみることが何より肝心です。

「ほお骨引き上げを含めた、ほお骨プッシュの3種の動作は朝と夜の入浴後に行うとより効果的です。そのほか、日中に鼻づまりで困ったときにも行うといいでしょう。
とても簡単な体操ですが慣れるまでは動きを確かめながら行ってください。

副鼻腔炎の人は、ほお骨引き上げをすると痛みを強く感じる人もいます。
しかし、すぐに膿(うみ)が流れ出すという人もおぜいいるのでぜひ試してみてください」(山本先生)

ほお骨プッシュを試した人は8割近くの人が効果を実感

山本先生は鼻ヨガを考案して以来、ヨガ教室の中でこれらの動作を指導してきました。
「私は、鼻ヨガで多くの人が悩みを解消してもらいたいと思っており、実際に教室に参加した人の約8割が鼻のスッキリ感をその場で実感しているのです。

のどの奥で膿が流れ落ちるのがわかる、行ったあとに鼻をかんだらドロドロとした鼻水がたくさん出たなど……そんな感想が聞かれます」

鼻ヨガ教室で実際によくなった人の話を紹介しましょう。
以下は、健康情報誌『夢21』にも掲載された患者さんの例です。

大阪府に住む主婦の島田佳子さん(仮名・43歳)は、5年ほど前に山本正子先生のヨガ教室で、ほお骨プッシュを教わったそうです。

「私はアレルギー性鼻炎があり、季節の変わりめや体調が悪いときに鼻がつまっていました。ヨガ教室に通いはじめてから鼻の調子が少しよくなったので喜んでいたのですが、ほお骨プッシュを教わって試したら、さらに鼻が通るようになって驚きました。

ほお骨を押して鼻のわきのモヤモヤとしていた部分をほぐすと、のどの奥に鼻水が流れるのがわかったのです」

島田さんはほお骨プッシュの即効性に感動して、帰宅するとすぐにご主人にやってもらったそうです。
「夫は副鼻腔炎を患っています。就寝時も鼻がつまって苦しそうでいびきをよくかいていました」

島田さんは、ご主人の鼻からほおにかけて注意深く触ってみると、右側が少しむくんでいました。
実際、島田さんがほお骨を指で押し広げると、左側は痛くないようでしたが、右側はとても痛がったそうです。さらに、小鼻の上あたりがかたかったので、それも軽くほぐすようにしました。


「ほお骨プッシュをすると左右どちらの鼻からも黄色い鼻水が出はじめ、翌日も一日じゅう鼻水が出つづけたそうです。
夫は歯科医なので治療中も鼻水が止まらなくて大変だったようですが、そのあとは今までにないくらい鼻がすっきりしたようで、とても喜んでいました」

ご主人はそれ以来いびきをあまりかかなくなり、気持ちよさそうに眠っているそうです。島田さんもほお骨プッシュを始めて、アレルギー性鼻炎はほとんど改善しているといいます。これからも夫婦そろってほお骨プッシュを続けたいとうれしそうに話してくれました。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。


写真/© Fotolia ©カラダネ

出典:『夢21』4月号(詳細はわかさ出版ホームページにて)

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