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[亜麻仁油の働き3]肌トラブル(湿疹、皮膚炎など)が改善し、シワが目立たなくなった人も

解説 鶴見クリニック 理事長
鶴見隆史

亜麻仁油は、現代人に不足しがちな、オメガ3脂肪酸(脂肪酸とは油脂の構成成分)の優れた補給源です
オメガ3脂肪酸の働きは多彩で、例えば私たち現代人に増えている、認知症やガンといった病気の予防に役立つ可能性があり、健康維持のためにおすすめとする研究者もいます。

しかしそれだけではありません。肌トラブルの予防にも役立つと言うのです。
亜麻仁油について検証した国内外の研究について、鶴見隆史先生にくわしくお話を聞きました。
とはいえ、亜麻仁油はあくまでも食品ですので、健康維持のために食事の中で適量を活用してください。病気や不調がある人は、専門医に診てもらうことが重要です。



心臓や精神疾患、皮膚病などの不調がある人に亜麻仁油に多い「オメガ3脂肪酸」をとった

亜麻仁油の働きを検証した研究の中でも有名なのは、米国の医学博士のドナルド・ラディン博士が行ったもの。

この研究では、心臓病・動脈硬化・関節炎・生理不順・消化器系の疾患・前立腺肥大・頭痛・精神疾患・アレルギー病・皮膚病などを抱える44人を対象に、食生活の改善とともにビタミン・ミネラル(無機栄養素)を補うように指導し、そのうえでオメガ3脂肪酸を補給するために毎日大さじ2〜4杯の亜麻仁油をとってもらったといいます。

その結果、個人差はあるものの、前述した不調が3カ月〜1年半の間に改善し、中には顕著によくなった例もあったといいます。
注目すべきは、対象の44人のうち39人が、なんらかの肌トラブルを併発していたにもかかわらず、それらの肌トラブルも、食生活の改善と亜麻仁油の補給で改善に向かったことが報告されていることです。

薬物治療で改善しなかった肌トラブルが亜麻仁油で改善

39人が抱えていた肌トラブルは、手・ひじ・すね・かかと・太ももなどの慢性的な湿疹、皮膚炎、ヒビ割れ、乾癬、ニキビ、頭部やまゆ毛のフケなど多岐にわたります。
また、円形脱毛があった人もいたそうです。
しかも、39人の大半が、ステロイド剤などの薬物治療を行っても改善しなかった人たちだったといいます。

こうした肌トラブルがどのような経過で改善に向かったかというと、まず、大半の人に試験開始から1週間以内に変化が現れ、肌がなめらかで柔らかくなってきたそうです。
そして、1〜4カ月のうちに肌の弾力性が顕著に増し、色やツヤ、肌触りがよくなってしわも目立たなくなってきたと報告されています。

症状別に見ると、まず、かゆみや皮膚のカサつきといった湿疹が多くの人たちに認められましたが、その半数以上に改善が認められました。
また、丘疹(きゅうしん)性の皮膚炎(皮膚が乾燥し硬くなる皮膚炎)があった人は10人いましたが、そのうち9人の症状が改善したそうです。

さらに、成人のニキビを患っていた3人については、全員が改善して肌がきれいになりました。円形脱毛があった人は、4カ月が経過すると産毛が生え、1年半がたったころには脱毛部分が完全に毛髪で覆われたことが報告されています。
s_亜麻仁油 肌図版 .jpgそのほか、冬になると、入浴やシャワーのあとで肌が痛む人もいましたが、試験後にはそうした症状がよくなったとのことでした。
以上の結果から、肌トラブルに対して亜麻仁油の補給がいかに重要かがわかります。

クリニックでの改善事例もある

最近は、日本でも食事療法の一環として亜麻仁油を取り入れ、さまざまな不調の改善に役立てている医師が増えています。
私自身も、10年以上前から、亜麻仁油を活用しています。

私の治療の方針は、できるだけ薬を使わず、体内の酵素(消化・分解・吸収など、生命活動を支える物質)を増やして、誰の体にも備わる自然治癒力を高めていくことです。

具体的には、主に糖分や動物性たんぱく質を減らし、生の野菜や発酵食品を中心にして、腸管粘膜免疫(腸で働く免疫のこと)を高める食事療法を指導します。
その一環として、オメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸など「とりすぎると体に悪い油」を控え、不足しがちなオメガ3脂肪酸を多く含む「亜麻仁油」をとるようにすすめているのです。
s_亜麻仁油 特集4-2.jpg実際、私のクリニックには、アトピー性皮膚炎、乾癬、脱毛など重い皮膚症状のほか、花粉症などのアレルギー性疾患や各種の胃腸病などさまざまな不調に悩む人が来院します。
そうした人たちに治療に加えて亜麻仁油を使った食事療法を指導すると、個人差はあるものの、改善に向かうことが多いのです。

亜麻仁油は、一般的に1日に小さじ1杯とることが推奨されています。慢性的な肌の不調を抱えている人は、1日大さじ2〜4杯とってもかまわないでしょう。
なお、亜麻仁油は酸化しやすいので、加熱せずに使うことが大切です。ドレッシングとして生野菜にかけるなどしてとるといいでしょう。

もちろん、亜麻仁油をとるとなんでも不調がよくなるということはありません。亜麻仁油を上手に食事の中で取り入れ、健康維持に活用してみてください。

亜麻仁油のダイエットや健康法をさらに知りたい方はこちらをご覧ください。


この記事は、医療や健康についての知識を得るためのもので、特定の見解を無理に推奨したり、物品や成分の効果効能を保証したりするものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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