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【専門医の治療レポート】アトピーなど肌トラブルに亜麻仁油をすすめる理由。

解説鶴見クリニック理事長
鶴見隆史

酵素栄養学を治療に取り入れ、多数の患者さんを診てきた鶴見クリニック理事長の鶴見隆史先生。鶴見先生は、肌のトラブルがある患者さんに、亜麻仁油(アマニ油)をすすめることがあるそうです。

その理由と、治療のレポートを鶴見先生にお聞きしました。

油のバランスが崩れると肌の炎症→肌トラブルに

肌トラブルの原因は、皮膚の内部で起こる慢性的な炎症です。
炎症とは、細菌やウイルス(細菌より小さな病原体)などの異物が体に侵入したときに、体内で起こる防御反応のこと。皮膚の内部に炎症が起こると、発疹やはれ、痛み、かゆみといった症状として現れるのです。

体内で起こる炎症には、油(脂質)のとり方が大きく影響します。油は、体内に入ると細胞を包み込んで保護する「細胞膜」を形成することをご存じでしょうか?
細胞膜は、細胞内に栄養や酸素、水分などを取り込み、老廃物や二酸化炭素を排出する重要な役目を担っていますが、なんとその約70%が油でできているのです。

油をとるうえで大切なのは、必須脂肪酸(体内で合成されない脂肪酸)であるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率です。
この2種類の脂肪酸は、どちらも体内でプロスタグランジンと呼ばれるホルモンを分泌する働きがありますが、オメガ6脂肪酸には血管を収縮させて炎症を促す作用があり、反対にオメガ3脂肪酸には血管を拡張させて炎症を鎮める作用が認められています。

つまり、この2種類の脂肪酸には、それぞれ拮抗する働きがあるため、バランスよくとることが大切なのです。
s_oiru2-2.jpg現在、厚生労働省は、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率を4対1とすることを推奨しています。しかし、現代人はそのバランスが大きくくずれ、オメガ6脂肪酸を圧倒的に多くとっています。

実情を見ると、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率が20対1や30対1になっている人も少なくありません。

オメガ6脂肪酸の多いリノール酸が肌の水分を失わせる

特に問題なのは、オメガ6脂肪酸の一種であるリノール酸です。
リノール酸は、大豆油やコーン油、ベニバナ油など、一般的な植物油に含まれており、現代人のほとんどはリノール酸を過剰に摂取しています。

しかも、リノール酸は加工食品、スナック菓子、マヨネーズはもちろん、小麦・米・大豆といった穀物など、私たちがふだん口にする身近な食品にも多く含まれています。
そのため、注意していないとすぐにとりすぎてしまうのです。

リノール酸によりオメガ6脂肪酸をとりすぎると、肌の炎症が悪化し、皮膚の細胞膜に酸素や栄養が行き渡りにくくなります。
すると、肌から水分が失われて肌のバリア機能(細菌や有害物質から肌を守る働き)が低下し、新陳代謝(新しいものと古いものの入れ替わり)も衰えてしまいます。

その結果、肌のかゆみやカサつきが悪化するほか、アトピーをはじめとしたアレルギー性皮膚炎、乾癬など肌トラブルを招くのです。
しかも、頭皮の炎症が悪化すれば、薄毛・脱毛の原因にもなると私は考えています。
s_スクリーンショット 2017-02-28 14.34.17.pngこうしたことから、慢性的な肌のトラブルを改善するには、オメガ6脂肪酸の摂取量を減らし、炎症を鎮めてその害を打ち消すオメガ3脂肪酸を積極的にとることが必要なのです。

オメガ3脂肪酸を多く含む亜麻仁油で、みずみずしくハリのある肌に

オメガ3脂肪酸には、亜麻仁やエゴマなどの油に含まれるα-リノレン酸や、マグロやサバといった青背の魚に豊富なEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などがあります。

中でも、オメガ3脂肪酸の優れた補給源として、世界的に注目を集めているのが亜麻仁油です。
亜麻仁とは英名で「フラックス」と呼ばれるアマ科の一年草の種子です。ゴマよりひと回り大きな種子で、これを搾って得られた油が亜麻仁油です。

亜麻仁油には、α-リノレン酸がとても多く含まれています。α-リノレン酸は、体内に吸収されるとEPAやDHAに変化し、炎症を鎮めてオメガ6脂肪酸の害を少なくしてくれます。
そのため、亜麻仁油をとれば、肌の炎症が鎮まり、かゆみ・カサつき・湿疹などの肌トラブルが改善していくと考えられます。

また、肌の細胞膜の働きが活性化して血流もよくなり、肌の潤いや弾力性、ツヤが改善する働きも期待できます。
s_肌ケア.jpgそのうえ、頭皮の皮膚細胞の新陳代謝が活発になり、育毛が促進され、薄毛や円形脱毛にも改善作用があるとされます。
実際、亜麻仁油は、体内の炎症を鎮めて血液やリンパの流れを促し、多くの不調の改善に役立つことが研究で示唆されているのです。

こうしたことから、亜麻仁油の補給は、皮膚を内側から若返らせ、さまざまな肌トラブルを改善に導く優れた肌養生といえるでしょう。

鶴見クリニックの肌トラブル改善事例

私のクリニックでは、適切な治療に加えて食事療法の一環として、亜麻仁油の摂取をすすめています。
この記事では、私の指導で食事療法を実践し、慢性的な肌トラブルを改善した人の例を紹介しましょう(以下は健康情報誌『わかさ』で2015年に掲載された記事を再編集したものです)

改善事例❶
毎日小さじ2杯の亜麻仁油を取り入れ乾癬(かんせん)を改善

佐藤さん(仮名・80代・女性)は、50代のころから、乾癬による全身の慢性湿疹に悩んできました。
乾癬とは非伝染性の皮膚病で、ひじやひざ、胸などに赤く平らに盛り上がったカサカサしたもの(鱗屑という)が生じ、強いかゆみを伴うこともあります。

佐藤さんは、ほかの病院で診察や検査を受けても原因がはっきりとわからず、薬を使ってもほとんど改善が認められませんでした。
そこで、体に備わる「自然治癒力」を導き出す治療を行う、私のクリニックに来院したのです。

私は佐藤さんの皮膚の状態を診るとともに、食生活について話を聞きました。佐藤さんは甘い物や肉類、揚げ物などを好んで食べているほか、リノール酸(オメガ6脂肪酸の一種)を含む一般的なサラダ油を多用しているとのこと。

こうした食生活のために、肌細胞の働きが悪化し、乾癬の症状を招いているのではないかと考えられました。

そこで、適切な治療に加えて、主食を精白した米・パン・麺類は控えて玄米やソバにするほか、生の野菜や果物、魚のほか、漬け物などの発酵食品をしっかりとるよう、食事指導をしました。
そのうえで1日に2回、亜麻仁油を小さじ2杯ずつとってもらうようにしたのです。

その結果、亜麻仁油の補給と食事療法を始めてわずか1週間で症状が改善に向かいだしました。そして、4カ月がたつころには、肌の赤いカサカサがほとんど改善し、乾癬の症状がすっかりよくなったのです。

改善事例❷
亜麻仁油ドレッシングと生野菜で全身のアトピーが改善

鈴木さん(仮名・20代・女性)は、小学校の教員として忙しい毎日を送っていました。
そんな鈴木さんの長年の悩みは、アトピー性皮膚炎です。
発症は中学生のときで、ひじやひざ、首などにかゆみを伴った湿疹ができ、皮膚科で処方された薬を塗っていたそうです。

アトピーは、いったん改善しても、何かのきっかけで再発するケースが多く見られます。
鈴木さんも、高校・大学時代には一時的にアトピーが治まっていましたが、教員生活を送るようになってから再発。
顔や首、胸など体の広い範囲に湿疹が広がり、薬を服用しても改善せず、当クリニックを訪れたのです。

鈴木さんは、教員になってからというもの、昼食に学校で食事をとっていたとのこと。
私は、鈴木さんのアトピーの再発の一因は、その食事にあるのではないかと考えました。

私は鈴木さんに、治療をするとともに、生の野菜や発酵食品を中心にして、腸管粘膜免疫(腸で働く免疫のこと)を高める食事療法を指導しました。それとともに、ドレッシングに使うなどして、亜麻仁油を毎日とるようすすめたのです。

これを実践した鈴木さんは、2週間ほどでアトピーの症状が軽快し、4カ月後にはきれいになりました。今では、潤いのある肌に戻っています。

もちろん、亜麻仁油さえとれば誰もが健康になれるということではありません。とはいえ、亜麻仁油が注目されているのは事実。みなさんも、日々の食事の中で取り入れてみてはいかがでしょうか。

亜麻仁油のダイエットや健康法をさらに知りたい方はこちらをご覧ください。


記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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