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「眼科医の私も50歳から視力が回復!」 専門医も認める目にいい生活習慣とは?

解説 西葛西・井上眼科病院名誉院長
宮永嘉隆

眼科医として、50年以上の診療経験を持つ宮永嘉隆先生。

宮永先生は、子供のころから視力が悪く、眼鏡を手放せない生活をしていたそうです。
ところが、あるときから眼鏡を使わなくても生活できるようになり、80歳を超えた現在では、特に見え方に不自由さを感じなくなったといいます。

なぜ、宮永先生は眼鏡を手放すことができたのでしょうか。誰でも簡単に実践できる「目にいい生活習慣」について話をうかがいました。



80歳を超えた今は軽度の近視・老眼があっても、新聞を裸眼で読めるのが自慢

私は、年に1回、自分の目の屈折状態の変化や視力を調べていますが、いたって良好。80歳を超えた今でも裸眼視力は両目とも1.0~1.2を保っています。

また、老眼も症状が軽いままで進行していません。
書き物をしたり本を読んだりするときには軽めの度数の老眼鏡をかけるものの、今でも新聞を裸眼で読めることが私のひそかな自慢です。
また、大きな目の病気とも無縁で過ごせています。

どうして以前よりも視力が改善したのか、長年の眼科での診療経験をもとに、私なりの考えをまとめてみました。

視力低下の原因とメカニズム→「毛様体筋」に負担がかかりピントがくるう

私たちが近くを見るときには、目のピントが近くにある対象物へ合うように自然と調節されます。
このとき、カメラでいうとレンズの役割を果たす「水晶体」が、その周囲にある「毛様体筋」の緊張によってぶ厚くなります。

これは、毛様体筋に大きな負担がかかった状態といえます。

視力にかかわる筋肉
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私自身は、子供のころからそれほど熱心に勉強をしてきたという自覚はありません。とはいえ、もしかしたら本を読む時間は、ほかの子供よりも長かったのかもしれません。

そうした近くばかりを見る生活を長年続けるうちに、ピントを調節する毛様体筋がいつも緊張しっぱなしになって硬直してしまい、近くに焦点が合ったまま固定されてしまったと考えられます。

おそらくは、それが原因で私は子供のころに慢性的に遠くが見づらい近視の症状が出ていたというわけです。

毛様体筋が衰えたことで硬直が改善し、視力もよくなった

しかし、私の視力は50歳を過ぎて不思議と改善しはじめました。
年齢を重ねるにつれて全身の筋肉が衰えていくのと同じように、毛様体筋の機能も低下しはじめたのでしょう。

そして、それが偶然にも功を奏して、毛様体筋に起こっていた過緊張をゆるませることにつながり、硬直もほぐれていったと考えられます。

その結果、もともと備わっていた目のピント調節機能も徐々に改善して視力が戻ってきたというわけです。
また、水晶体も固くならずに弾力が残っていたのも幸いでした。今でも白内障はありません。

とはいえ、私の近視が改善したのは、今述べたことだけで得られたものではないはずです。
実際、私は眼科医の立場から考える「目にいい生活習慣」を実践してきたのです。

疲れ目やドライアイを防ぐ「目のふちなぞり」

特に私がおすすめしたいのが、目の周囲にある、いわゆる視覚筋の一つともいえる「眼輪筋」をほぐしたり、涙や目の油分の分泌異常を正したりするのに役立つ「目のふちなぞり」です。
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目のふちなぞりは、目をギュッとつぶったあとにゆっくりあけて視力にかかわる筋肉をゆるめ、指先で目のふちを軽くなぞったりするだけのとても簡単なマッサージ法です。
ただし、絶対に守っていただきたいのは、眼球を押さないこと。無理してやりすぎないこと。あくまでも眼のふちを軽くなぞるように行うのが大切です。

それぞれ各1分ずつ行えば、疲れ目やドライアイの改善作用を得られる人がいるはずです。
また、中には視力のよくなったと感じる人がいるかもしれません。

●目のふちなぞりのやり方
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まだまだある! 目にいい生活習慣

●バランスのいい食事をとる
目の機能を保つには、年を重ねると不足しがちなたんぱく質(アミノ酸)が重要です。私は肉や青魚を積極的にとり、たんぱく質不足に陥らないように注意しています。

青魚は、目の動脈硬化予防に役立つDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸も豊富です。
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また、抗酸化力(攻撃力の強い活性酸素の害を抑える力)が強い、カシスやブルーベリーをとるのもおすすめです。

●喫煙を控える
目の奥の視神経のまわりは、毛細血管が密集しています。タバコを吸うと血管が収縮して、視神経の血流を滞らせる原因となります。私も45歳のときに一念発起し、ピタリと禁煙しました。

●目の紫外線対策をする
白内障になるのを予防することも、目を若く保つ秘訣です。
そのためには、紫外線対策が重要です。
目の紫外線対策に有効なのは、ひさしのある帽子をかぶることだというデータも報告されています。日ざしの強い日は、帽子のほかにサングラスや日傘も活用して目を守りましょう。

●時計やカレンダーの位置を調整する
パソコン作業や読書など手元ばかりを長時間見るときには、その合間に離れたところを見ることが毛様体筋の過緊張を防ぐのに役立ちます。
例えば、パソコン画面と一直線上になるように時計やカレンダーの位置を調整し、作業の合間に視線をそこへ移すのです。

対象物があるほうが焦点も定まりやすく、頭を動かさずに視線だけ動かせばいいので便利です。
私は、電子カルテを使いはじめてから夕方の診察終了後に疲れ目に悩むことが多くなったのですが、これを習慣にしたところあまり疲れなくなりました。

●適度な運動を心がける
目は、背中・首の後ろ側などの血流悪化や筋肉の硬直の悪影響を受けやすい器官といえます。
そこで私は、次のような体操を毎朝5分ほど行うのを日課にしています。

❶首を右回り、左回りにゆっくり2回ずつ回す。
❷両腕を広げて腰を左右にひねる動きを3回行う。
❸両手を後ろで組み、背中をそらす動きを3回行う。

ここで紹介した目にいい生活習慣は、みなさんも簡単に実行できることが多いと思います。
若々しい目を維持するためにこの中の一つでもかまいませんので、今日から実行してみてください。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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