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過活動膀胱の改善には【膀胱若返りヨガ】を(わかさ出版監修)。尿漏れ・頻尿を防ごう

解説 カラダネ編集部

この記事を読んでいる尿漏れに悩む人は、頻尿にも悩みがあるのではないでしょうか。
実は、尿漏れと頻尿には、密接な関係があり、原因はさまざまです。
最近の研究では、本来は柔軟なはずの膀胱(ぼうこう)の筋肉が硬くなること原因で、尿トラブルを招く人が増えているということ。

やわらかくない、硬くなった膀胱(記事ではカチコチ膀胱と表記します)とは、いったいどのようなものでしょうか。また自力での改善法はあるのでしょうか。
取材したところ、専門医が硬くなった膀胱の改善に役立つヨガについて解説してくださいました。

もちろん、尿漏れ・頻尿を自覚したら泌尿器科で診てもらうことが重要です。専門医の治療方針に従ったうえで、記事で紹介する「ヨガ」も試してみてください。



膀胱=水が入った風船!硬直すると尿がためられなくなる

女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀先生は、膀胱のしくみとカチコチ膀胱について、次のように解説しています。

「膀胱は尿を一時的にためておく袋状の臓器で、膀胱の内側は平滑筋という筋肉で形成されています。平滑筋は腕や足の筋肉とは違い、自分の意志では動かせない筋肉です。
膀胱の筋肉の特徴は、体のほかの部位と比べても、大きく伸び縮みするということ。
まずは、膀胱について理解するために水入り風船を思い浮かべて、それを膀胱と考えてください。

尿がたまっていないと膀胱の筋肉(風船でいうと表面のゴム)は縮んでいますが、尿がたまると薄く引き延ばされます。つまり、風船が水によってふくらんだ状態です。
ところが、膀胱の筋肉が十分に伸び縮みしないと、尿を少量しかためられなくなります。風船でいう表面のゴムが硬くて伸び縮みしないわけですから、水が入らなくなるのはしかたありません」(関口先生)

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「年を重ねると、膀胱の筋肉は衰えます。特に心臓から遠い場所にある膀胱は、血流も滞りがちです。
すると酸素も栄養も十分に行き届かず、膀胱の筋肉はどんどん衰えて硬直し、伸び縮みしにくいカチコチ膀胱になる可能性があるというわけです。
その結果、尿がたまりにくくなってしまいます」(関口先生)

尿が少したまっただけでも、膀胱がいっぱいになったと勘違い

膀胱の筋肉が硬直してカチコチ膀胱になると、尿がたまりにくくなるばかりか、排尿をコントロールする膀胱のセンサーにも異常をきたすと考えられます。

女性医療クリニックLUNA心斎橋院長の二宮典子先生は次のように話します。
「膀胱に一定量の尿がたまると、膀胱のセンサーが尿を感知して大脳に『尿がたまりましたよ』と伝えます。すると大脳は、たまった尿を排出するように指令を出すのです。

ところが、膀胱の筋肉が衰えて硬直すると、尿を感知するセンサーにも異常が生じます。
すると、尿が少量しかたまっていなくても誤作動を起こして膀胱がいっぱいになったと勘違いし、急に尿意を催す過活動膀胱になると考えられるのです。
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[専門医考案!]カチコチ膀胱ほぐしに役立つ&快尿筋も強化できるヨガ

では、カチコチ膀胱をほぐして、尿漏れを防ぐ自力対策はないのでしょうか。泌尿器科専門医の馬車道さくらクリニック院長、車英俊先生が誰でも簡単にできる改善法を考案しました。

「私は、尿漏れや頻尿で悩む人にはヨガをおすすめしています。実は、ヨガについては興味深い研究が、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校で行われています。
この研究では、尿漏れに悩む40歳以上の女性20人を、『ヨガを行うグループ』『何もしないグループ』の2つに分けて、6週間後に経過を比べたそうです。

その結果、ヨガを行うグループの尿漏れの頻度が66%も減ったといいます。ちなみに何もしないグループの尿漏れの頻度は、13%減でした。

ヨガが尿漏れに役立つ理由はいくつかありますが、一つには膀胱を柔軟にして尿をしっかりためる働きを復活させる点があげられるのではないでしょうか」(車先生)

ヨガの深い呼吸で血流を促し膀胱を柔軟に

では、どのようなしくみで改善するのでしょうか。

「膀胱が硬くなるのは、血流が悪くなって酸素が不足することも大きな原因でしょう。膀胱は、全身に血液を送る心臓から遠い場所にあるため血流が悪くなりやすいといえます。
でも、ヨガを行うと膀胱を中心に骨盤内の臓器の血流もよくなると考えられるため、膀胱を柔軟にするのに役立つはずです。
また、骨盤内の冷えを防ぐ作用も期待できます。

みなさんは、寒くて体が冷えたときにトイレが近くなった経験をお持ちではないでしょうか。これは、冷えると膀胱が収縮して硬くなる点が一因としてあるのかもしれません。
ところが、ヨガを行うと骨盤内の血流がよくなって冷えが退くため、膀胱が硬くなるのを防げる可能性があります。膀胱に柔軟性が戻れば、尿がしっかりたまるようになり、尿漏れや頻尿を改善に導けるというわけです」(車先生)

たった3ポーズ!専門医も治療に使う膀胱若返りヨガのやり方

ヨガには、さまざまなポーズがあります。ここでは、尿漏れや頻尿に悩む人におすすめのポーズを紹介しましょう。
ヨガ教室をクリニックに併設し、治療の一環にヨガを積極的に取り入れている、医師の金子透子先生は次のように話します。

「尿漏れや頻尿の改善のために私がおすすめしたいのは、❶股割りのポーズ、❷かかしのポーズ、❸カエルのポーズの3つです。
ただし、それぞれのポーズの間には休憩として安らぎのポーズを行ってください」(金子先生)

膀胱若返りヨガを行う順番
❶股割りのポーズ→安らぎのポーズ→かかしのポーズ→安らぎのポーズ→カエルのポーズ→安らぎのポーズ

安らぎのポーズ
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あお向けに寝て、足は骨盤の幅に開き、腕は体から少し離して手のひらを上に向ける。
口は閉じて、あごを少しずつ上げてて口角がゆるまって少し開くところで止める。
目は閉じて、全体重を床に預ける。
おなかをふくらませながら、鼻から息を吸い、へこませながら口から息を吐く。

❶股割りのポーズ
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❷かかしのポーズ
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❸カエルのポーズ
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①あお向けになり、足は少し開いて伸ばし、腕は手のひらを下にして横に広げる。
体の力を抜き、鼻から息を吸う。

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②ひざをあまり立てずに曲げて、両足の足の裏どうしをぴったりとくっつける。
口から息を「はぁ〜」と吐き出す。
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③口から息を吐きながら、足を上半身の方に引き上げて、できるだけ上半身に近づける。
この時、ひざは立てずに大きく開き、床に近づけたまま行う。
最大限近づけたら、息を吸いながら①の状態に戻る。
これを5回行う。

大切なポイント〜就寝の1時間以上前に行おう〜

「ヨガを行うさいの注意点として、まずは呼吸を正しく行ってください。膀胱若返りヨガは、深い呼吸を行うことで横隔膜が上下に動いて、それに快尿筋(正式には骨盤底筋群)が連動します。
息を吐き出すときに、肛門をすぼめるように意識します。すると快尿筋が引き上げられて引き締まるのです。

息を吐き出すときが重要なので、動きのどのタイミングで息を吐き出すかをしっかり確認しながら行ってください。もう一つ、大事な注意点として各ポーズのあとに「安らぎのポーズ」を行ってください」(金子先生)

安らぎのポーズがなぜ大事なのでしょうか。金子先生は続けます。
「実は膀胱若返りヨガともいうべき3ポーズを行うさいに、大切にしていただきたいのが体を動かしているときではなく、各ポーズのあとに行う安らぎのポーズなのです。

各ポーズで、それぞれの筋肉を鍛えたあとに安らぎのポーズをすることで、鍛えた部分の血流がよくなって筋肉を温めて修復し強化します。
安らぎのポーズは、全身の筋肉を脱力させることが重要です。床に全体重を預けて、心の底からリラックスするように呼吸してください。ヨガを行うのは、体が柔らかくなっている入浴後がベスト。

ただし、就寝の1時間以上前に行ってください。反対に体温がまだ低くて体も硬くなっている朝方はさけましょう。
膀胱若返りヨガは、毎日続けることが大切ですが、腰痛などがある人は痛みのないポーズだけを行ってください」(金子先生)

尿漏れや頻尿で悩んでいる人、病院で過活動膀胱と診断された人は、カチコチ膀胱の改善のためにヨガを試してみてください。

【体験談】膀胱若返りヨガで午前中5回のトイレ回数が2回に減って下半身の冷えが改善した

以下は、2017年に健康情報誌『夢21』に掲載された患者さんの体験談です。

東京都に住む主婦の佐藤和美さん(仮名・52歳)は、約6年前から青空レディースクリニックで行われているヨガ教室に通い、昨年10月からは膀胱若返りヨガなど「骨盤底筋を鍛えるヨガ教室」にも通うようになりました。

「私は、クシャミをしたときにほんの少し、尿漏れをした経験があります。雑誌やテレビでも尿漏れや頻尿はたびたびテーマになっていますし、友人ともやはり話題になります。そのため、今後悪化しないよう予防のためにヨガを始めたのです」

佐藤さんは、ヨガ教室に通いはじめて、自分の頻尿に気づいたそうです。

「私は、午前中だけで5回もトイレに行きます。それでも、そのことを先生に指摘されるまで、頻尿という自覚はありませんでした。
ところが、膀胱若返りヨガを初めて2カ月が過ぎたころから頻尿が改善し、午前中のトイレ回数が2回になったのです」

最近はトイレの回数が減ったばかりか、持病の腰痛まで起こらなくなったと喜ぶ佐藤さん。佐藤さんは、これからもヨガを続けていくと話しています。

神奈川県に住む梅田春雄さん(仮名・67歳)は、ヨガで尿漏れが改善しました。
梅田さんは2年前に前立腺ガンで、前立腺を摘出してから尿漏れに悩まされるようになりました。

「医師からは1年もすれば徐々に改善するといわれたのですが、私の場合はいっこうによくならなかったのです。そこで私は馬車道さくらクリニックの「ドクター監修ヨガクラス」に通うことにしました。

すると、一年くらい続けた今では尿漏れが改善しているのがわかります。もちろんすべてがヨガのおかげというわけではありませんが、尿漏れの回数が減ったのは気持ちのいいことですね」

梅田さんは、尿漏れが全くなくなる日を期待して、膀胱若返りヨガに励んでいます。

記事にあるセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

写真/© Fotolia ©カラダネ

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※記事の執筆ドクターが特定商品の購入等を推薦するものではありません。

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